預金利息「5%」の政策を

長寿社会の到来

〝預金金利5%をつけられる政策 を〟なんていうと気が狂ったのではないかと思われるであろう。

しかし、よくよく考えてみると長寿社会はお金に働いてもらわなければ成り立たない社会なのである。長寿社会は人間としての夢が実現した社会である。秦の始皇帝が不老長寿の薬を求めて世界中に使者を遣わし探し求めて叶わなかった社会だ。その社会が目の前に実現しかかっているのに〝高齢化社会〟といって年齢を重ねることが何か悪いことでもしているような空気が感じられるのはおかしなことだと感じないのであろうか。長寿社会を素直に喜べる社会にするには、その一例として「預金金利5%をつけられる産業政策」が必要だと提案しているのである。

預金金利「ゼロ」はおかしい

「 政(まつりごと)は民(たみ)を養(やしな う)にあり」(※)のたとえの通り長寿社会では長寿者が安心して暮らせる社会を作るのが政治の責任である。

預金利息「ゼロ」であれば、預金を引き出せば確実に減って、このまま生活を続ければいつ預金がなくなるか計算できる。長生きして余命より早く預金がなくなる不安や恐怖感は計り知れないものがある。

若い人たちの側からみても預金金利が「ゼロ」であるとリタイアしてからの人生を支える資金を残すには、収入の半分を積み立てなければならず、若い人たちには将来の夢も希望も無くなってしまいかねない。

預金利息「ゼロ」の正体

預金金利「ゼロ」はバブル崩壊後デフレに突入して資金の借り手が減少してしまって、せっかく預金を集めても預金を企業融資以外に運用する能力が金融機関になくなってしまったからである。

冒頭にも書いた通り、長寿社会では、お金に働いて貰わなければ成り立たない社会である。したがって、国民から預金を集めて、私たちに運用能力がありませんから、利息は払えませんでは国民が困るのである。預金金利を支払えるような産業を創出し、国を挙げ国民に金利5%を支払えるような政策を考えてもらわなければ困るのである。

5月 26 日の日本経済新聞に「幸之助の株式立国論」というコラムが掲載されていた。松下幸之助氏は現在のこのような事態を想定していたのであろうか。氏がかつて説いていた「無税国家論」にはこのような意図が含まれていたと思われる。

金融機関は産業振興を原点に

日本の銀行制度は銀行創設者として知られる渋沢栄一氏がヨーロッパ視察の時にスエズ運河を通ったとき、このような壮大な事業はどのような仕組みで行われているのだろうか、と興味と関心を持ったところから始まったと聞く。

大勢の人から資金を集めて、事業を興し、その事業による収益から資金を返済し、利益を分配した。

いま、スエズ運河開拓当時のようにグローバルな国家戦略に基づいて、国民の預金、企業の技術、国家のグローバル戦略と官民挙げて産業振興のプロジェクトを実行する時代が訪れたのである。

アジアの時代到来

いま、中国が「AIIB」を提唱して議論を巻き起こしている。アジアには投資機会900兆円もあり、この開発を中国が主導して「AIIB」に乗り遅れるとこのおこぼれにありつけなくなるということらしい。  「AIIB」を待つまでもなく開発途上国は成長率が高い。日本もかつて成長率が 10 %を超える時期があった。中国も 10 %を超える成長を経験 した。これから成長発展著しい開発途上国のインフラ開発投資に積極的にかかわり国民に5%の利息を保証する産業政策を進めてほしいものだ。

5月 22 日の新聞記事によれば安倍首相は「AIIB」に対抗してアジアインフラ投資を拡大するという。

しかし、「融資」するという発想ではなく事業を興すという、インフラを運用し運用収益を共有するイスラム金融的な発想が求められる。平成 25 年1月号にも書いたが、明治維新の産業政策のような大胆な政策を願うものである。

「貯蓄から投資」といわれて久しいが、アメリカではファニーメイはじめ政府が政策的に国民に安定した金融商品を提供して国民の資産形成に寄与している。日本も「AIIB」を機に官民総力を挙げた開発途上国のインフラ投資を通じて国民の資産形成に資する商品としてファニーメイのような国民が安心して資産形成ができる商品を考えて欲しいものである。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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