葦の髄から天井を覗く

無税国家論

前号で「預金利息5%の政策を」という、今の〝ゼロ金利〟時代に似合わないテーマで書いた。

本旨は明治時代に匹敵するような産業界、金融機関、日本政府一体となった「日本株式会社」を組成し、長寿社会日本を支えながら開発途上国の発展を支えるプロジェクト投資を行い、そのリターンによって日本の長寿社会を支える。これから世界中に来る長寿化の波のモデルになるような、壮大なプランを政府に期待しているのである。

シンガポールのリー・クアンユー氏がこのような思想を持って国家運営をし、わずか 50 年で現在のシンガ ポールを築いた。

松下幸之助氏の「無税国家論」は産業人である氏が国家運営も鵜飼のように国民を鵜に見立てて鵜が取ってくる魚を、鵜匠が取り上げるように税金を国民から取り上げるようなシステムではなく、更に進化して国家が「士魂商才」の気概・魂をもって世界を相手に活動することを、望んでいたのではなかろうかと思うのである。

葦の髄から天井を覗く

政府は6月末「財政健全化」のための「骨太の方針」とそれを実現するための「成長戦略」を出した。この成長戦略の一つである「現代版〝姥捨て山〟と評されている「高齢者地方移住」をテーマに討論しているテレビを見る機会があった。

私は夢の〝長寿社会の到来〟と考えこの長寿社会を理想の長寿社会にするためにはどのような視点から政策を立てなければならないかという視点で考えたらどうかと思っている。

しかし、テレビの議論を聞いているうちに違和感を覚えた。それは首都圏、特に東京の高齢者が多くなって介護難民が出るから、先に高齢化の波に襲われこれから高齢者の減少期に入る地方の介護施設に空きが出てくるので、首都圏の高齢者を地方の介護施設に移住させようという政策に対する討論の場であった。

〝夢の長寿社会の到来〟を現時点における〝介護をどうしよう〟という、まさに「葦の髄から天井を覗く」視点での議論で〝夢の長寿社会の到来〟という大きな構造変化としてとらえていない〝姥捨て山議論〟といっても過言でない夢のない議論であった。

夢の社会

長寿社会は秦の始皇帝が不老長寿の薬を求めて以来ず~っと人間の夢であった。現代の医学は山中伸弥教授のiPS細胞の発見に代表されるように現代版「不老長寿〝薬〟の発見」に真剣に取り組んでいるのである。

長寿社会の理想をどこに求めるかは人によっていろいろあろうが、私は昔の物語に出てくる「桃源郷」を一つの長寿社会のモデルと考えている。このような視点からこの欄でいろいろな提案、提言をしてきた。

短い文章の中での提案なので気が付きにくいかもしれないが、意を汲んでいただけると嬉しい。

私は昭和 11 年生まれ、私が生まれた時の平均余命は 44 年だった。44 年 たった昭和 55 年の平均余命は 72 歳で27 年も伸びていた。27 年経った平成20 年の平均余命はさらに8年伸びていた。現在の8分の1の生存率による余命は約100歳である。

健康に留意し普通に暮らせれば100歳も夢ではない時代になっている。これが「夢の長寿社会」といわずしてどう表現したら良いのでしょうか。

まさか、あと何年で「あなたは姥捨て山へ行くのですよ」というのだろうか。

夢の社会は循環型社会

最近、私は二人の女性に出会った。二人とも 20 代から世界のグローバル企業でキャリアウーマンとしてバリバリの仕事をしてきた方がたである。偶然その背景をお聞きしてその活躍ぶりに感動したものである。

その二人の方は活躍した後日本に帰ってきて緑豊かなゆっくりと時間が流れる今までとは全く違う静穏な生活をされていて、お二人の話をお伺いするまではバリバリのキャリアウーマンだったことは露ほども感じさせない静かな方々である。お二人の話を伺いながら、これこそ私が望んでいる循環型社会のモデルではないかと思うようになった。

地方から都市圏へ、日本から世界へ、また、世界からふるさと日本へ、故郷へという循環型の社会を支えるには、ふるさとを支える経済的基盤を確立する必要がある。

その仕組みが、「新ふるさと納税制度」(※)である。高齢化社会を長寿社会へ転換するには思い切った発想の転換が必要だと思うのである。

(※)  新ふるさと納税制度は   ほっとタイムス152129号参照

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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