新ふるさと納税制度

税制は社会を変える

今年も税制改正のシーズンが来た。只、今年はいつもと違って民主党に政権交代したので、自由民主党時代の税制改正と打って変わってマニュフェストや民主党が出している税制基本方針などで読み解くほかはない。

「税制は社会を変える」税務に携わる者として心に留めている言葉である。

京都の町並みが間口が狭く奥行きが深い町並みになったのも、その昔、間口を基準に課税されていた名残であることは有名である。また、租税特別措置は特定の政策に誘導する典型的な例である。

税制を考えるときには、どういう社会を望むか、そのためにどのような税制が必要か、民主党の税制改革大綱を読んだが明確に見えてこないのが残念である。

豊かな社会とは

毎週月曜日に放映されている「鶴瓶の家族に乾杯」を見ているが、そこで紹介されている地方の住宅を見ると広々とした、ゆったりとした家庭が紹介されている。また、限界集落といわれ、人影がまばらな山村においても子沢山の家族が紹介されたり、地方には自然が豊かで、ゆっくりと時間が流れているのがわかる。

このテレビ番組を見ながら、鮭が生まれた川から海に出てまた生まれた川に帰ってくるように、地方を豊かにすることによって、地方から出て、世界中で活躍し、また余生を生まれ故郷で安らかに暮らせるような社会を作りたい、と考えるのは私だけであろうか。

このように「地方を国力の再生産基地に、日本を日本人が世界へ飛翔させるハブ基地に」というコンセプトを基本にして国家の政策、税制を考えて欲しいと思う。

ベルリンの壁の取り壊し、共産主義社会の崩壊により全地球世界が一つのシステムにより動き出してグローバル社会が実現した。このような世界にあって日本をどのような国にするのか、民主党の政策からは見えてこない。自由民主党も新しい社会像を描けなかった為に民主党へ政権を譲り渡してしまったと考えている。

グローバル社会における税制のあり方(国籍主義と超・超過累進税率)

グローバル社会は格差の激しい社会である。アフリカなどの最貧国から、開発途上国、先進国が一つの地球の中で同じ資本主義経済の中で繋がっており、これらの貧富の格差が取引や貿易を通じて先進国も波及するのである。

反面、グローバル社会においては、日本国内に閉じこもらず、活躍の場を全世界に求めることができるし、して欲しいと思うのである。このような時代の税制は、課税権は居住主義では納まりきらない時代になっており、世界中どこに住んでいても日本国籍を持つ限り、日本人は日本国に納税する国籍主義を中心にすべきである。

これは既にアメリカで行われておりアメリカの市民権をもつ人は、全世界どこに居住していようとも納税申告する義務を課されているので、実行可能性は決意次第にかかっているといえよう。国内においては地方を活性化し、地方を活力ある豊かな社会にし国民の揺籃の地とするには、納税者はその納税を自分が終の棲家としたい地へ納税することができるようにすることである。

さらに、グローバル社会では自分の能力を十分発揮できる無限の可能性があり、外国では何十億円もの報酬を得ることができる。只、グローバル税制で留意すべきは、格差の拡大を調整するために超過累進税率制度の内在する自動調整機能を活用することが必要である。

その昔、超過累進税率が88%にも達していた頃、松下幸之助氏が高額納税者として、「一生懸命働いて国からご褒美を戴く」と表現したことを記憶している。

新ふるさと納税制度でゆたかな社会を

グローバルな社会においては、税制を現在の居住地主義から国籍主義に拡張し、日本国内からドンドン世界中に出て行って活躍し、納税する税金の中からふるさとへ納税することにより現役引退後は魅力あるふるさとで余生を暮らせるような日本にしたいと思う。

国内にあっては、地方を再生産基地として位置づけ、地方で生育し、働き盛りには首都圏や世界に出て活躍し、又地方に戻って余生を過ごす。鮭や鱒ではないが、必ず生まれ故郷に帰って暮らせるような循環型で豊かな社会、素晴らしい日本を築ける税制を願っている。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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