長寿社会を考える 〜 循環型社会へ 〜

三題噺

先ずは、朝ドラ「ごちそうさん」を見ているが、 3月の初め、空襲と強制疎開の話が進行していた。皆それぞれの縁故や知り合いの伝手を頼りながら疎開先を探していた。

次は、2月の末に川崎市長に就任した福田市長の講話を聴く機会があり、川崎市は人口が増加しているが、やがて来る高齢化社会における介護や医療に関して今後の川崎市の市政の大きな課題になるであろうと話されていた。

もう一つ、3月 11 日東日本大震災から3年を迎える。テレビでは災害被害者の故郷に対する思いが語られていた。

都市住民は 地方出身者が大多数

福田市長の話は長寿社会の最大課題である老後の年金・医療・介護を取り上げている。朝ドラの 疎開は都市住民が地方へ、出身地へどう帰るかのヒントである。3・ 11 大震災は新都市住民が故郷に馳せる思いの潜在意識をどう揺り動かすかのヒントである。

川崎市もそうだが江戸の昔から都市には地方出身者が非常に多い。私も 戦後新潟県から上京してきて川崎市を終の棲家と している。交通も情報も物流も発達した現代では、帰ってもよいのではないかとも思う。GDPで計る世界とブータンのように国民幸福度で計る世界があるように、日本の中でもゆったりと時間の流れる〝幸福度〟で計る世界(地方)と一秒の時間で計るGDPの世界(大都市)があってもよいと思うのである。

循環型社会を目指して

長寿社会は秦の始皇帝を出すまでもなく人間が追い求めてきた夢の社会である。iPS細胞の発見を見てもわかる通り長寿社会はひしひしと足元に近づいてきている。

いまの時代は年金・医療・介護の現在のシステムの歪ばかりに目がいって歪を直すことばかりに関心がいってしまっているが、理想の長寿社会を思い描き、それを実現するため新しいライフスタ イルの提案、年金・医療・介護のシステムはどう あるべきかを考える方が建設的であると思うのである。

私は長寿社会を次のよ うに思い描いている。鮭がひっそりとした川の上流で生まれ、成長すると川を下って大海に出て活躍し、やがて年老いて川に戻り一生を終える。老後のイメージについては、 姥捨て山の物語もあるが、桃源郷の話もある。

姥捨て山の話はさておき、桃源郷の話を思い浮かべながら子育て期と老後、終末期をゆったりし た時間の中で過ごす社会を思い浮かべよう。循環型社会はゆっくりと時間が流れる地方と寸秒を争って時間が流れる大都市との間をリズムよく循環する社会になればよいと思う。都市へ出てきたら帰らない一方通行のラ イフスタイルではなく、 都市で活躍した後は、都市に留まらず故郷へ帰る ライフスタイルの仕組みである。

循環型社会への第一歩~地域連携

私の友人の中にも出身地へ戻り活躍している人もいる。川崎市長の話から連想したのは、川崎市の市民サービスは川崎市の線で区切られた物理的な範囲で考えるのではな く市民の出身地を巻き込んだ住民の出身地と連携したネットワーク的な地方と連携した循環型の子育て、福祉行政を考えてはどうだろうかということである。

私は地方の活性化は老若男女、年齢の高低を問わず人の交流があることが重要だと考えている。高齢者というと寝たきり介護の終末高齢者を連想しがちであるが、そうではなく、現役引退した活力ある高齢者の出生地を基盤とした出身地へ戻る循環型社会へ移行してはどうかと考えている。

また、以前に政府はセカンドハウス構想を打ち出したことがある。この構想は循環型社会へ近づく構想として取り上げてはどうであろうか。地方を活性化するには財政的基盤も充実させなければならない。税の視点から見た循環型社会の仕組みとして「ふるさと納税」 制度を提唱しているので 「ほっとタイムス」第129号第152号をご覧ください。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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