2014年の不動産市況展望とその対策

第302回 財産承継研究会

2014年の不動産市況展望とその対策

〜収益性向上・相続節税・資産の組み替え〜

講師 アトラクターズ・ラボ株式会社代表取締役 沖 有人氏

今回は、アトラクターズ・ラボ株式会社代表取締役 沖有人 氏から表題の講演を拝聴しましたので概要をご紹介いたします。

同社は、住宅分野において日本最大級のデータベースを独自に分析したサービスを、200社以上の法人向けにコンサルティングしている会社です。経営者や資産家に対しては、資産の形成・組み替え戦略や相続税対策の実務支援を行っています。お客さまが現在保有している資産を収益性の高い資産に組み替えるには、いつ・どこに・どんな物件をいくらで購入するのかにより収益性は大きく変わります。収益性を評価軸に数字と論理で最適なご提案を心がけています。

収益性は、運用利回りだけではなく資産を組み替えることによるキャピタルゲインも含めて検討します。資産を組み替える際に重要なのは①自社で調査した「買い時指数」と②エリア③最寄り駅徒歩圏内④総戸数⑤階数⑥面積⑦時価との比較です。また、次の資産組み替えの際の需要を予測することも重要です。自社で独自に調査を行い、「新築・中古価格の比較・推移」や「取引価格と貸出態度指数」をもとにした今後の取引価格を推計することが可能です。

今後、不動産価格は金融緩和から資産インフレが起こり、個人・法人・外国人投資家の買いが増加します。オリンピックも不動産価格の上昇の要因となるでしょう。しかし、今までのオリンピック開催国の経済成長率を見るとオリンピックが終わったあとも成長をつづけているのは、1996年アトランタオリンピックのみです。このことを考えると、資産の組み替えは今から2020年オリンピック開催までの「黄金の7年」です。

また、2015年から相続税が増税になるので、2014年は相続対策のための、不動産賃貸物件の需要が高まり「相続税特需」の年といえるでしょう。

賃貸物件市場の見通しは、全国の雇用環境も改善が続き人口は首都圏への流入が増加しています。しかしながらアパートの着工数は減少しています。消費税の駆け込み建築により需要は増えるものの、2014年は供給以上に需要増が期待できます。2014年度は賃金が上昇に向かうと想定されており、首都圏の賃料は以前より高めに設定をしても良いでしょう。川崎市は東急線・JR線の戦略的な駅前再開発が行われ準都区部としての位置づけがされていますので、都区部と同様に賃料は高めに設定して良いと思われます。

相続税節税対策として不動産賃貸物件の組み替えをする場合は、①割安②評価減が大きいこと③高利回りを重視します。相続税対策として購入するなら、低層マンションよりもタワーマンションのほうが有利です。マンションは販売開始時期を過ぎると中古物件とみなされ価格が割安になります。また、都心の高額物件は、本体価格に価値が上乗せされていることが多く、マンションが大規模になるほど土地の所有割合は少なくなり、結果的に相続税評価額を下げることができます。購入する際は、安定した賃料収益が見込めること(インカムゲイン)・資産価値が値下がりしにくいこと(キャピタルゲイン)・今後の売却を想定します。中古マンション市場で取引量の多い物件属性なら、換金で苦戦することはありません。ただし億ションなどの特殊物件は難しくなるので注意が必要です。

不動産賃貸投資は、10年毎に資産を組み替えることで資産を増やし、単年度のキャッシュフローも改善することができます。資産の組み替えは不動産投資の王道であり、老朽化した物件を持ち続けるメリットはほとんどありません。相続税対策はまず資産の棚卸からはじめ、収益性の低い物件は買い替えを検討しましょう。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2014年4月25日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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