「起業社会」

フェイスブック

中国、インドに次ぐ世界第三の人口(5億9637万2520人)を持つインターネット上の「フェイスブック王国」が、チュニジアのジャスミン革命(1月 14 日)、エジプトのナイル革命(2 月 11 日)という「アラブ民主化革命」の契機となり注目を集めている。

「フェイスブック」については、最近の週刊ダイヤモンド・週刊エコノミクスで特集されているので割愛するが、フェイスブックについては様々な角度から取り上げることができる。

たとえば、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の観点から、また、いま中東で起きているデモによる社会変革を起点にしたインターネット社会における「フェイスブック」の役割と影響力などがある。

しかし、私は別の視点、2004年に大学の学生寮の中で誕生した「フェイスブック」が、わずか数年間で世界第三位の人工の人口大国(6億人)、個人資産6000億円の大企業・大富豪を生み出したアメリカの起業風土に関心をもつものである。

起業社会

古くはアップル、マイクロソフト(1970年代)、近くはヤフー、アマゾン・ドットコムなど1990年代、最近2000年に入ってグーグルなど世界に名だたる IT企業がアメリカを源流として誕生し、世界のインフラを変えてきている。

私は1977年にアルバカーキに移ったマイクロソフトへ企業訪問をしたことがあるが、いつも感心するのは、アップルにしても、マイクロソフトにしても、グーグルにしても、今度のフェイスブックにしても、若者がガレージから出発し、世界に冠たる大企業に成長してきたことである。

アメリカの起業社会の風土

「フェイスブック」(日経BP社)の翻訳者 滑川海彦 氏が「訳者あとがき」の中で次のように言っている。

「アメリカは成功者を守り立てていく文化だといわれている。フェイスブックの成功は1にも2にもザッカーバーグの天才とカリスマによるものだが、同時に 16 歳の高校生にしか見えない若者のビジョンにかけて、巨額の投資に踏み切ったベンチャー投資家や、グーグルなど既存の大企業から飛び出してフェイスブックに加入した優秀な人材の貢献も大きい。」

アメリカの起業社会の風土を育ててきたものは、アメリカ建国の歴史に見るまでもなく、独立心、開拓精神、チャレンジ精神に負うところ大であるが、それにもまして、その起業・チャレンジを援け、育てる周囲の風土とそれを支えるベンチャー企業に資金を供給する仕組みが、非常に大きいと考えている。

起業にチャレンジする風土作りを

いま、日本はNHKが 「無縁社会」を特集で取り上げるほど、社会の仕組みがバラバラになってしまっており、農村・町会・起業社会を問わず、戦後60年の成長期に出来上がってきた共同体システムや、官僚組織、金融システムなどの諸制度の制度疲労が顕在化している。

景気経済も大学新卒内定率が最低で、総理大臣が施政方針演説で「雇用」を連発しなければならない程異常である。

バングラディッシュのグラミン銀行は『絆』をキーワードに女性の起業を無担保・無保証で資金を貸付け成功した。大学を出るほどの能力のある人たちが大企業に入ることばかりを考えずに、起業を目指す風土を作り上げるにはどうしたら良いであろうか。

民主党政権に望むのは現実に媚びる政策ではなく、新ふるさと納税制度※の創設による日本古来のよき共同体の再生と官僚化した諸制度を変革する政策である。

※(本誌2009年 12 月号に掲載)

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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