なにかがおかしい?

配偶者控除廃止?

配偶者控除廃止か、と いう記事が出ていた。配偶者控除の適用が受けられる配偶者の所得が限度を超えると配偶者控除が受けられなくなり女性配偶者が働くのをやめる事例が多いことから、女性労働力活用の視点から議論されている。

アベノミ クスは成長戦略の中心に女性活力の利用を掲げている。少子高齢化社会の到来と労働力人口の減少に対応するため女性を労働力で補おうとするものである。その一環として労働力の制約となっている「配偶者控除」の縮減・ 廃止も議論の遡上に上がっているのであろう。

しかし、よく考えてみると「なにかがおかしい」 と感じるのである。女性の持つ最大のパワーは子供を産み育てることができることなのは誰も異論はあるまい。

長寿社会は子供を 産み育ててからでも 十分働く期間がある

今女性の平均寿命は 89 歳である。また、出産年齢の上限は 40 歳とも言われている。出産年齢を過ぎても 50 年近い期間があるのである。結婚適齢期、出産適齢期である 20 歳代で2〜3人の子育てを終えて社会復帰できるよう にすれば、活躍できる期間は十分ある。「子供は国の宝である」とよく 言われる。もし、そうであるならば出産適齢期に子供を安心して産み育て、 教育できるような環境を作らなければならない。

朝の連続テレビ小説 「花子とアン」を見ているが、4月の週では貧しい家族が花子を家族の代表として力を合わせて寄宿舎へ入れる話が放映されていた。

また幕末の長岡藩では戦争で疲弊した長岡藩に米百俵の寄進があったと き、その米を食料へ回さずに売却したお金で学校設立の資金に充て、子供たちの教育へ投資したこ とが長く語り継がれている。このように明治の人たちは現在の自分の貧し さの中にあっても遠い将来を子供たちに託して育てた。

現在は自分の豊かさを求めて将来への負担やツケを回して過ごしているのではないだろうか。

女性の活用と成長戦略

アベノミクスの成長戦略、特に女性労働力に目を向けた女性活力プロジェクトは戦略というには矮小すぎて、目先にとらわれ過ぎていると感じ ているのは私だけではあるまい。日本創成会議でも心配しているように人口減少に対する国家戦略としての方針が見えてこ ないところが「何かがおかしい」と感じる由縁ではないかと思う。

ヒトラーが政権を取ったときもドイツは少子化問題を抱えていた。女性は失業して家庭に入っても社会に与える不安は少ないが、男性が失業すると大きな社会不安を引き起こす。そこでヒトラーは結婚資金貸付法を作りお金のない若者たちが結婚するときは無利子の貸付を行い、一人子供ができるとその四分の一を免除するという政策をとっ た。1932年には 51 万 件だった結婚数が1933年には 63 万件、1934には 72 万件に増加し、 出生率も 20 %も上がった (※1)とある。

成長戦略の一環として 考慮すべきものがあると 思うのである。

自然の中で子育てを

日本創成会議でも指摘 しているように地方の疲弊は目を覆うばかりである。これは働く場所がないため税収が上がらず、住民サービスが行き届かずに人口流出が止まらないことである。

地方の活性化について ベトナム難民が海外送金をしてベトナム経済を支えた事例を参考にしてはどうだろうか。故郷を出て都会や海外で活躍する若者が、その所得の一部 を故郷へ納税という形で送金するという、住民税の一部を〝ふるさと〞へ納税する仕組みを作るこ とである。

これを私は地方を活かす循環型社会をつくる税の仕組みとして「新ふるさと納税制度(※2)」 として提唱している。子育ての時間は緩やかな時間の流れの中で、自然に恵まれた自然環境の中でゆったりと育てられるよ うにしたいものである。

(※1)武田知弘「ヒトラーの経済政策〜世界恐慌からの奇跡的な復興」

(※2)新ふるさと納税制度:ほっとタイムス(129号152号

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ