国民年金 加入と諸手続き


クローバー通信 No.226

少子高齢化が進み、健康保険・年金保険・介護保険とも制度の見直しの必要性が高まっていますが、保険料未納などの事由により、現時点で万が一の事態が起こったとき、支給要件を満たしていないばかりに保障をうけられない事態は避けたいものです。

今回は、国民年金の加入の諸手続きについて見ていきましょう。

1 年金制度

国民年金は公的な年金制度となっており、加入は義務となっています。

日本国内に住所があり、20歳以上60歳未満の人は、国籍を問わず誰もが、国民年金・厚生年金・共済年金のうち、いずれかの年金制度に加入しなければなりません。

厚生年金や共済年金に加入していない人は、すべて国民年金の第1号被保険者、第3号被保険者となります。

手続き窓口は、住所地の市区役所または町村役場です。

公的年金の制度では、老後のための「老齢年金」の他、若くても万が一の時には「障害年金」「遺族年金」が受け取れます。ただし、必要な手続きを行わず、保険料を未納のまま放置するとこれらの年金が受け取れなくなる場合があります。

2 20歳になった時

20歳になると、厚生年金の加入者を除き、日本年金機構から国民年金(第1号被保険者)加入のお知らせが届きます。

[送付される書類]

基礎年金番号通知書
② 国民年金加入のお知らせ
③ 国民年金保険料納付書
④ 国民年金の加入と保険料のご案内
保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書
⑥ 返信用封筒

「基礎年金番号通知書」は、加入する年金制度の変更手続き(国民年金⇔厚生年金)や年金の請求手続きなど一生を通して使用するので、大切に保管しましょう。

国民年金保険料の学生納付特例制度

学生には、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。前年の所得が一定以下(収入金額でおよそ194万円)の学生が対象です。なお、家族の所得制限はありません。

所得基準(申請者本人のみ):

128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

必要書類:

① 基礎年金番号通知書のコピーまたは年金手帳
② 在学証明書・学生証などのコピー

3 転職・退職した時

厚生年金に加入している人(第2号被保険者)が、退職して自営業などになった場合には、年金は国民年金へ、医療保険は国民健康保険等へ切り替える必要があります。会社をいつ辞めたかで手続き方法が異なりますが、会社を辞めてしばらく次の会社に入らない場合は、その期間は国民年金第1号の期間となり、保険料を納めなければなりません。

[申請方法]

必要書類:

① 基礎年金番号通知書のコピーまたは年金手帳
② 離職票など厚生年金保険等の資格喪失日が証明できるもの

提出期限:

退職の翌日から14日以内

4 第3号被保険者の場合

扶養者の勤務先を通じての手続きとなります。保険料は、扶養者の加入する厚生年金制度の財源から一括で国民年金に支払われており、直接保険料を納付する必要はありません。

以下の要件をすべて満たす必要があります。

① 厚生年金加入者に扶養されていること
② 日本国内に住所があり、扶養者により生計を維持されていること
③ 原則として年収が130万円未満であり、同居の場合、収入が扶養者の収入の半分以下、別居の場合、収入が扶養者からの仕送り額未満であること

5 保険料免除・納付猶予制度とは

保険料免除制度とは

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人が申請書を提出し申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。

免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。

保険料納付猶予制度とは

20歳から50歳未満の人で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合には、本人が申請書を提出し申請後に承認されると、保険料の納付が猶予されます。

手続きをするメリット

➡ 保険料を免除された期間は、老齢年金を受け取る際に2分の1が受け取れる

➡ 保険料免除・納付猶予を受けた期間中に、ケガや病気で障害や死亡といった不測の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金が受け取れる

任意加入制度

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望する時は、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)

ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。

6 保険料の追納制度

老齢基礎年金を受け取るためには、原則として保険料の納付済期間等が10年以上必要です。保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間がある場合は、年金の受給資格期間として計算されますが、年金額は、免除の期間は半額のみ、納付猶予の期間は反映されません。保険料を全額納付した場合と比べて年金額が少なくなります。

後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を生涯にわたり増やすことができます。

[申請方法]

⒈年金事務所での申込み

(申請用紙をダウンロードし郵送でもOK)

⒉厚生労働大臣の承認を受け、納付書が送付される

➡ 追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内
➡ 原則古い期間の分から納める
➡ 保険料追納の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされる

追納した保険料は、社会保険料控除の対象となります。

確定申告または年末調整が必要ですが、収入が増額したタイミングで追納すると、税金が戻る場合があります

予定がある場合は、シミュレーションしてみると良いでしょう。

まとめ

国民年金は、厚生年金と違い、自分からアクションを起こさないと手続きできません。若い世代を中心に年金への不信感が高いのも理解できますが、税金や企業の拠出などを考慮すると、納めた保険料に対する受給額は決して少なくありません。今後受給額が減少する可能性が高いとはいえ、年金なしに自助努力だけで準備するのはかなり難しい事です。老後のためにも、万が一の場合や、障害を負った場合のためにも、手続き漏れのないようにしていきましょう。

次回は、年金を増やす方法について取り上げます。

 

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