「ティーパーティー」

アメリカの納税者意識

アメリカの中間選挙で今回特に注目されたのは、「ティーパーティー」運動であった。2月 19日「シカゴ・ティーパーティー」の呼びかけから、自然発生的に始まったこの運動は、瞬く間に全米に広まった。

リーマンショック後の大企業救済や、住宅ローンの救済な どに税金を使うことへの反対がきっかけで、医療保険制度への改革を掲げるオバマ政権の大きな政府に反対する運動となって民主党が大敗を喫した。

かつて、1978年のカリフォルニアで納税者の反乱といわれた「プロポジション(提案)13号」が思い出される。決議13号はカリフォルニア州が固定資産税の増税を打ち出したときに、これに反対する納税者が住民運動を起こして、増税案を大差で否決し、州政府当局を苦境に追い込み、教職員や警察官の減員にまでおよび行政サービスが停滞した事件である。

日米納税者意識の違い

ボストン・ティーパーティーを契機にイギリスとの独立戦争を経て、「自らの税金は自らが決める」という民主主義の原点に立つアメリカと、支配者・被支配者の間での「租庸調」という源流をもつ日本の納税者とでは自ずと納税者意識に差があるのは当然である。

しかし、年間5兆円にも及ぶ子ども手当や、高校教科書無償化、農家の個別補償制度などに税収の3分の1に近い金額をつぎ込む政策に何の反応も示さない日本国民との風土の違いと言おうか、税に対する感度の鈍さと言おうか彼我の国民性の違いをまざまざと感じる。

日本に納税者の反乱が起きるとき

いま、日本はこの納税者意識あるいは納税者の我慢の限界が試される時代に入っているのである。既に報じられているように、900兆円を超え発表されるごとに記録を更新している日本の債務は、ギリシャ問題に端を発した財政破綻問題と関連して、日本の財政破綻懸念をクローズアップさせた。

岩村充早稲田大学教授の「貨幣進化論」によれば、少子長寿社会に入った日本では財政破綻を回避するには一に徴税力にかかっているとのことである。いま、財政破綻を避けるべく政府はなりふり構わず躍起になって財源探しをしており、これに国民が何処まで増税に耐えられるか、何時国債購入を拒否するかにかかっているのである。

中産階級=中小企業を育てる政策を

菅総理は施政方針演説で「雇用・雇用・雇用」と言っていたが、大企業がグローバル化の中で海外へ進出していく後を埋めるのは雇用の三分の二をになう中小企業である。しかし、いま中小企業も度重なるショックで疲弊しきっており、倒産・廃業が進んでいる。

このような状況を早く脱却し、中小企業が創業・起業がしやすく、かつ事業を継続しやすい、雇用の受け皿になりやすい政策を行って欲しいものである。中小企業を元気にすることが中産階級の育成・勃興につながり、ひいては財政破綻を回避する迂遠なようであるが近道だと考えている。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 

 


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