高額すぎる死亡保険金に注意

♣受取人固有の財産

保険

死亡保険金は、生命保険契約に基づき被保険者が死亡すると受取人に指定されている人が直接受け取ることになりますので、その【受取人の固有の財産】となります。

♣みなし相続財産

民法では生命保険金を請求する権利は相続財産から除かれ、遺産分割協議の対象ではありません。しかし相続税上は、死亡保険金は【みなし相続財産】とされ、生命保険の非課税枠(500万円×相続人の人数)を超えた部分が課税対象になります。

♣特別受益

相続人の中に被相続人から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、その相続人が受けた利益の事を【特別受益】と言います。

♣持ち戻しの対象

死亡保保険金は相続人固有の財産とはいえ、例外として保険金が高すぎて相続人間で著しい不公平が生じた場合は前出の特別受益に該当し、死亡保険金は他の遺産額と合算した上で、各相続人の相続分を決める【持ち戻し】の対象になります。

♣特別受益と判断された事例

①東京高裁平成17年10月27日

遺産総額1億0134万円に対し保険金1億円(98%)

②名古屋高裁平成18年3月27日

遺産総額8423万円に対し保険金5154万円(61%)

♣特別受益と判断されなかった事例

①大阪家裁平成18年3月22日

遺産総額6963万円に対し、保険金428万円(6%)

②最高裁平成16年10月29日

遺産総額5257万円に対し、保険金792万円(15%)

♣まとめ

裁判事例を参考にすると、概ね50%を超えた場合は持ち戻しの対象となる場合が多いようですが、保険金の金額や遺産総額に対する比率だけではなく、被相続人との同居の有無・介護に関する貢献の度合い・婚姻期間の長短、各相続人の生活実態等、他の相続人との間で著しい不公平が生じているかどうかが問われるようです。

 



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