ロシアによる「ウクライナ侵攻」と国際金融市場の動揺

第389回ロングリレーションズ倶楽部
ロングリレーションズ倶楽部 特別講演

講師:NPO法人 横浜日独協会副会長 向井 稔 氏
(元UBSグローバル・アセットマネジメント 代表取締役副社長、 元日本投資顧問協会 副会長)

この時期恒例となっております、国際金融市場について、横浜日独協会 副会長の向井稔氏にご講演いただきました。今年のテーマは、ロシアによる「ウクライナ侵攻」と国際金融市場の動揺です。

❖コロナ禍とウクライナ侵攻が世界政治経済体制と国際金融市場のパラダイムを変えた?

2019年末から「武漢新型コロナウイルス+デルタ株+オミクロン株」と長期にわたり変異・拡大を続けるパンデミックの脅威にさらされています。そうした状況の中、2022年2月24日のロシア軍による「ウクライナ侵攻」の拡大とその甚大な影響により、「グローバル経済圏の分断と対立が構造的な不安定さを決定づけました」。30年前の「東西冷戦構造」崩壊から、米一強のもとグローバルなサプライチェイン構築、そして新たに「自由民主主義陣営」「統制的権威主義国家群」の対立が先鋭化していきます。

❖今年のマーケット概観

コロナ感染パンデミックによって世界経済は一気に縮小し、金融市場も急落を余儀なくされましたが、金融当局の積極的な財政支出や金融緩和策が功を奏し、次第にマーケットはコロナ禍以前の水準を取り戻しつつあります。ただ、供給制限や物流停滞を背景にした資源価格の上昇により急激なインフレ進行が世界経済の最大の問題となってきました。

一方で、世界の景気見通しにも不透明感が漂い始める中にあって、今年2月に起こったロシアによる「ウクライナ侵攻」は世界の地政学的リスクを高め、従来からの世界経済の構造的な仕組み自体を変える「ゲーム・チェンジ」の始まりを印象付けました。

ロシアという世界最大の資源国のひとつが「反乱」を起こし、それに対しG7を中心とする欧米民主国家群が、経済政裁を課すという対立構造が激化する中で、世界の資源・穀物価格暴騰の波は世界中に広がり、それにより特に欧米主要国ではインフレ対策のために金融引き締め対策に舵を切りました。特にドル金利の上昇を受け、為替市場では「ドルの独歩高」が進み、欧州・日本・中国更には非資源国の各通貨は総じて急落を余儀なくされました。今後の金融政策の転換に大きく左右されることになるでしょう。

 



 

 

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