第49回 ブロックチェーンゲームで小学生が月2万円稼ぐ時代が到来

情報セキュリティ連載
第49回 ブロックチェーンゲームで小学生が月2万円稼ぐ時代が到来

はじめに

今回から複数回に渡りデジタル金融とコンピュータのセキュリティ環境が大きく変わるお話をしたいと思います。小連載の目次は以下のような構成です。

仮想通貨

1 金融を取り巻く現状
2 アクシーインフィニティってなに?
3 金融、ゲームにブロックチェーン技術が浸透
4 メタバースは数十億人の大きな仮想大国になる
5 大手企業がメタバースに参入する狙い
6 コンピュータのセキュリティ構造も変える量子技術

1 金融を取り巻く現状

暗号資産の代表格であるビットコインが1ビットあたり700万円超を記録した2021年、暗号資産の技術であるブロックチェーンを利用したアクシーインフィニティというゲームが話題となりました。

★ 「Play-to-Earn(プレートゥーアーン)」という新しいゲームの形

アクシーインフィニティが注目された理由は、ゲームをプレーすることで月2万円ほど稼げるというものです。アクシーインフィニティの構造については次回の「アクシーインフィニティーってなに?」でご説明しますが、ゲームで労働対価が受けれるタイプのゲームを「Play-to-Earn(プレートゥーアーン、以下「P2E」といいます)」といいます。いま、このP2Eの覇権を取るため各企業でゲーム会社の買収競争が起きています。1月にマイクロソフト社が687億ドルでゲーム大手アクティビジョン・ブリザードを、ソニーが36億ドルでバンジーを買収しています。今後もゲーム会社の争奪戦が繰り広げられることが予想されます。

★ なぜ、今ゲーム会社の争奪戦が行われているのか?

日本人にはピンとこないかもしれませんが、世界には銀行口座を持てない人の数が17億人を超えるといわれています。さらにインターネットに接続できない人口は39億人ともいわれており、世界人口の半分以上がインターネットに接続できていない状況です。

割合として貧困層がその多くを占める状況です。

39億人が日本円で2万円を稼げると知れば、多くの人がこのP2Eの世界に入ってくることでしょう。企業にとってはこの39億人の市場はとても魅力的です。

★ IT企業にとっても魅力的な市場

この39億人の人口にインターネットを利用できるようにGoogleなどテックジャイアントが莫大な資金を投じ、世界中に海底ケーブルを引く事業をすすめています。その効果もあってか、数億人ずつですが、インターネットに接続できる人口が年々ふえている状況です。

Googleがインターネット構築に力を注ぐのはインターネットに接続できる人口が増えれば、同社が開発するスマートフォン基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマートフォンを持つ人口が増えるからです。

低所得国ではiPhoneは高額で購入は難しいですが、アンドロイドを搭載したスマートフォンは比較的安価で80ドルくらいで購入できる端末もあり、スマートフォンの普及の柱になっています。

★ スマートフォンが銀行口座になる

さらに、冒頭でデジタル金融が大きく変わると申し上げましたが、その要因がスマートフォンにあるからです。アフリカではMペサ、南米ではヌーバンクというマイクロファイナンス事業者が急成長を遂げています。

マイクロファイナンス事業者が提供するのは与信審査が通らず銀行口座を持てない人が携帯電話番号を口座代わりに預金や送金できるサービスです。Mペサのサービスはキヨスクと呼ばれる、地域ごとに多く点在する雑貨店が携帯電話の代金の支払い窓口になり、送金する際も携帯電話で相手の電話番号に送金処理を行いこのキヨスクに送金代を預け、相手も他のキヨスクで送金代を受け取るという仕組みです。

原始的ですが銀行口座を持てない地域で爆発的にユーザーを伸ばしました。

このようにスマートフォン、マイクロペイメント事業者が成長すれば、39億人が口座を持てるようになり、アクシーインフィニティのようなP2Eユーザーも増加するでしょう。新たなる経済圏の誕生です。この経済圏は年間数億人という規模で膨らみ続けています。

★ P2Eは仮想現実の世界を広げる窓口

P2Eだけでは経済圏を構築できないと考える方もいらっしゃると思いますが、このP2Eのすぐ先にあるものがメタバースといわれる仮想現実の世界です。このメタバースについてもパナソニックやKDDIなどが参入を表明しています。メタバースは仮想空間であるため、国などの物理的距離がないので、全世界が繋がるため既存のインターネットユーザー、さらに年に数億人という規模で増え続けるインターネットユーザーの数を考えれば参入するのはある意味当然と言えるでしょう。

この仮想現実の技術は、日本で数年後に大きく表面化する問題への1つの答えにもなります。その問題とは人口減少による地方経済の弱体化です。物理的距離がない仮想空間は首都圏と地方をつなぎます。労働人口の争奪戦が激化し始めているため1つの解決策となるでしょう。また仮想空間を利用できるようになれば、繋がる世界は広がり、利用者にとっては新たなる収入源にもなるでしょう。

次回は月2万円が稼げるアクシーインフィニティのお話とメタバース(仮想空間)がもたらす世界について掘り下げていきたいと思います。

※ 本記事に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも記事の内容として記載したものであり、その銘柄又は企業の株式等の 売買を推奨するものではありません。

 

《参考文献》
『マイクロソフト巨額買収の破壊力メタバースに飛び交うマネー』
   2022年1月19日付日経速報ニュース
『メタバース、働き方をどう変える』
   2022年2月9日付ウォール・ストリート・ジャーナル

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