ディープラーニング〈変化の時代〉

老後2000万円という言葉が一人歩きしたのは、それ自体に問題があるからではなく、金融庁審議会の報告書に記述された言葉に大きな反応を起こす素地が社会にあったからで、言葉そのものに大した意味はないはずです。

端的に言えば、日本人のほとんどが老後の生活を公的年金に頼って生きて行くということに対して、不安を感じているというあらわれでしょう。実際に、値上がり益などが一定額まで非課税となる少額投資非課税制度のNISAは若年層を中心に利用数が増えているようです。

足元の経営環境に目を向けてみても不透明さは増すばかりで、消費税10%へ引上げの10月は既に目の前ですが、準備が完了していると言える企業は多くないようです。ポイント還元は小売店の準備が浸透しなければ効果が出ずに、消費税増税対策という言葉も意味をなしません。

世界情勢をみれば、米中貿易摩擦が世界のサプライチェーンを翻弄し、米国が台湾に主力戦車の輸出を決定するなど、個人も企業も環境は劇的に変化しています。

また、学びの世界でも状況は大きく変わってきているようです。京都大学の総長は、『…昔は学べばそれだけ頭がよくなって、世界を知って広がった。しかし、今は莫大な量の情報の中に浮かんでしまう。絶望的ですらある。だからこそ、違う人間のことをわかろうとするのではなく、違うことを前提に自分一人ではできないことを一緒に作りあげていく、という社会のあり方を学ばなければならない(日本経済新聞2019年6月26日付)』と言っています。

AIによるディープラーニングなどは、人間の知能の外部化を実現することで莫大な恩恵を生み出す一方で、単に知識がある(若しくは知識にアクセスできる権限を持つ)という歴史的に重宝された類いの人々は、次第にその存在感を失うでしょう。

これまでの殆どの知識は個人の所有から、アクセス可能な情報という形態に変化することになり、職人の技術も例外ではありません。既に、ものづくりの現場では職人の技術が情報に変換されて、劇的に生産性を上げている企業も存在します。

個人も企業も環境がこれまでにない速度で変化し、さらに加速するであろうことは想像できますが、その先の景色をイメージすることはほぼ不可能です。そうであれば、現状を維持することで満足していたら非常に危険であると言えます。個人も企業も今ほど変化をしなければならない時代はないのかもしれません。

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