退職金制度の多様化

1 退職金の正体

退職金とはなにか。言わずとしれた会社をやめたときにもらえる手当のことですが、詳しく見ていくとその性質は2種に分類されます。

学説的には、一般に「賃金の後払い」とされています。引退後・老後の生活資金としてこれまで賃金の一部をためてきた、とする考え方です。しかし、一方で「功労報酬」的性格もあるとされています。勤続期間中の会社への功績に報いるものであるという性質です。労基法上も賃金とされますが、労働保険・社会保険の対象となる賃金ではありません。所得税法では独自の税額計算をします。

2 退職金の決め方

退職金は、このように支払うべしと法律で支給を義務付けられた報酬ではありませんので、支払額は会社の任意です。しかし、計算方法などの水準を決めた場合、それは就業規則に記載する義務がある労働条件になりますし、そのまま雇用契約の内容となります。それでは会社側の自由度がなくなり決めるだけ損だと思えますが、支給水準を決めないことにもリスクがあります。

なぜなら退職金は非常に長い期間を経て運用されるもので、しばしば労使のイメージの違いからトラブルになるからです。また、従業員側としては老後の資金として見込んでいますので、何十年働いても、その時の会社の判断でいかようにも決まるのでは、安心して勤務を続けにくくなります。金額自体と同じくらい、見込みが立つということに大きな価値があります。

労働条件全般に言えることですが、これからは退職金の支給も透明性が大事になります。

3 退職金制度の多様化

どうせなら払って不満の出るものではなく、従業員に喜ばれる制度であり、人材の定着や採用にプラスになることが望ましいといえます。

確定拠出年金、確定給付年金、中退共などの導入は、積立の外部化と仕組みの固定化でより透明性・納得性を高めると言えます。

また、従来の基本給×勤続年数ベースといった支給の仕方から、より在職中の功労を反映できるポイント制退職金制度や、終身雇用を見込まず退職金積立原資を現在の給与に加えて支払う制度など、退職金の支払い方は多様化しています。

4 最後に

退職金規程が古く、現在の会社の体力に比べて支給水準が高い場合などは、早めの制度変更が必要です。



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