新たに生まれるITサービスの革新性と法的問題点

♠自分を値段付けることができるVALU

VALU(バリュー、以下VA)というサービスが今年5月31日に開始されました。VAは個人が発行する仮想株式です。VAの基本的構造は株式と同じで、価格の変動は個人のソーシャルメディア(以下SNS)の言動で決まり、売買はVA取引所で1VAの出来高をビットコインで行われます。VAは個人では難しかった資金調達を行いやすくし、注目を集めています。

♠売り抜け騒動発生

VA取引で8月15日事件が発生しました。Web動画サイトの著名人がSNSで優待サービスを期待させる発言をし、VAの価格が上昇。上昇した上で全て売却したためVAが暴落、本人・関係者は多額の利益を得る一方多数の損失者を出しました。

この件はSNS上ですぐに炎上し運営元が著名人の出金停止等の措置を講じましたが、VAは金商法に規定する有価証券には該当せず、現行法で罰せられないのが現状です。

♠問われる法整備

これにつき麻生太郎金融相は「消費者保護と新しいものを育てることの両方を考える必要がある」とコメント。VAのような資金調達方法を擁護しました。背景にあるのは、ITを活用すれば革新的サービスを生み出せ、世界に一気に広められる一方、今回のようなトラブルが発生しても現行法では対応出来ない現状で法規制に動いてしまえば革新的サービスは他国で展開されイノベーションが生まれにくい日本は置き去りされるという危機感です。

既に民泊サービス大手のエアビーアンドビー(以下Airbnb)でもこの問題が露呈しています。Airbnbは民泊の法整備がされる以前からサービスを開始。条件付きで合法とされ国内大手も参入した時にAirbnbは、5万3千部屋を持ち、国内で年間500万人が利用するサービスに成長しており、完全にAirbnbの一人勝ち状態になっています。

Airbnb等のサービスが成立している理由はSNSの特性にあります。

これらのサービスはSNSで提供者も利用者も公開、評価され変なことをすれば、すべてのユーザーに通知がいき実質利用できなくなるという相互監視システムです。Web上で相互監視システムが成熟しつつある今、消費者もこの新しいシステム上での経済価値を認識し始めています。

国は相互監視システムを前提とした法整備を進め、開発者は消費者目線の製品サービスの開発・運用を進めていくことが重要だと思われます。

 

 


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