不動産は“どこ”をみる?

不動産はどこをみる不動産はどこを見る

11月号では鑑定業界の宣伝のようになってしまいましたが、今回は話を元に戻して対象不動産の確認等の話をします。

2016年9月号では色塗りした地図や位置図を片手に対象不動産周辺を歩き、

① 周辺街路の幅員及び系統・連続性不動産地図
② 周辺の土地の利用状況
③ 上下水道・ガス管配管の有無
④ その他

を確認するとお話しをさせていただきました。これらは、不動産鑑定評価では土地の価格形成要因といわれており、土地の価格を決める重要な要素であると位置づけられております(実は建物にも価格形成要因がありますが、ここはまたの機会にお話しできればと思います)。

上記①に代表される条件を「街路条件」、上記②及び③に代表される条件を「環境条件」と呼びます。上記④その他はさらに「交通接近条件」と呼ばれる条件と「行政的条件」と呼ばれる条件、「その他の条件」と呼ばれる条件に区別されます。

これらは9月号でご紹介したように現地である程度確認はできるのですが、実は現地ではわからないことやお客さまのご協力を得なければわからないことも多々あります。

ですから、現地で確認した後、あるいは現地で確認する前にいろいろ調べます。また、その結果、現地調査が不足していると判断した時は再実査を行います。

ただ、この再実査、近場の物件ならいくらでもできるのですが、遠方の場合(九州の鑑定士が北海道の物件を評価することだって、あります!)、既に交通費もかけていますし、なかなかそういう訳にはいきませんので一発勝負になってきます。税務であれば日帰り案件でも鑑定だと宿泊案件になることもあるのです。

【街路条件】

まずは街路条件です。土地の上に建物を建てるためには、その土地が建築基準法に規定する道路(以下「基準法の道路」といいます)に原則2m以上接していなければなりません(これを「接道義務」といいます)。このため、対象地が基準法の道路に接しているかどうかはその土地にとって死活問題といえます。また、現地で基準法の道路に接しているように見えても実は他人地が介在しており、そこを使わせてもらわなければ基準法の道路に接しているとはいえず、建物の建築はNGなんてことも結構あります(勝手に使ってしまっている例もありますが)。このように接道義務を充足していない道路を「無道路地」といい、相続税の財産評価においてもその概念が借用されています。

この点は、その土地がある市町村役場の路政課等の市道を管理している窓口とその土地のうえに建物を建てる場合に建築確認をもらう建築主事(※)がいる役所の窓口で調べます。路政課等の窓口では、道路台帳が備え付けられており、そこには市区町村が管理する市区町村道の位置、幅員、名称等の情報が記載されています。ここで対象地が接している道路が市区町村道で幅員4m以上であれば原則建物を建てられます。4m未満の場合や私人が管理する私道のためそもそも台帳に情報が記載されていない場合は建築主事がいる役所の窓口に行きます。建築主事がいる窓口は、川崎市や横浜市等の政令指定都市等の大きな市であれば同じ市役所の中にあるのですが、規模の小さい市町村ですと、市役所から何キロ、何十キロも離れたところにある道府県の出先機関に行かなければならなくなるので厄介です。

そこでは道路を色分けしたゼンリンの住宅地図が備え付けてあり、緑や青等の色がついていれば基準法の道路、茶色であれば基準法の道路ではない、無着色であればそもそも基準法の道路か否かの判定すらしていないというように一目でわかるような工夫がなされており、以下の事項を調べます。

① 対象地が接している道路が基準法の道路なのか、そうでないのか
② 基準法の道路であるとして建物を建てたり、造成(開発)するにあたり何か制限がつかないのか
③ 基準法の道路ではないとして建物を建てられる余地はないのかを確認します
④ 未判定の場合、どのようにしたら判定してもらえるのか

最近は、上記の基準法の道路か否かは窓口のパソコン端末で調べられる役所がほとんどだと思います。川崎市や横浜市ですと、それぞれ「ガイドマップかわさき」「i-マッピー」がインターネット上に公開されており、ご自宅や事務所のパソコンで簡単に調べられるようになっており、大変便利です。

次回は街路条件について具体例を交えてお話したいと存じます。

(※)建築主事

建築主事とは、建築基準法第4条の規定により建築確認を行うため、設置される地方公共団体に所属する職員のことをいう。

 


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