タワーマンションを利用した節税策、国税庁が監視強化へ

今年のはじめ、「『マンション節税』防止、高層階、相続税の評価額値上げ」と題する記事が全国紙に掲載されました。国税庁が全国の国税局に対して、「タワーマンションを利用した行き過ぎた節税策が行われていないか、厳しくチェックするように指示した」という内容です。

そもそも、なぜタワーマンションを購入することが、相続税の節税となるのでしょう?

それはタワーマンションの相続税評価額と、実際の取引価格が大きくかい離している、ということによります。相続税の財産の評価額の計算は、「財産評価基本通達等(以下「通達」)という基準に従って行われます。マンションの場合には土地と建物に分けて評価することとされています。

まず土地については、路線価等を使った方法で敷地の全体を評価し、それを各戸の共有持分で按分します。総戸数が多いタワーマンションの場合には、一戸あたりの評価額はかなり低くなります。

次に建物ですが、固定資産税評価額によって評価するとされています。これは建物の構造等により決定されるもので、その部屋が高層階なのか低層階なのかは考慮されません。(実際のマンションの売買では、1階上がれば50~100万円値段が上がるといわれます)

2011年から2013年に国税庁が20階以上のマンションの売買物件343件について試算したところ、相続税評価額の平均は、売買価格の約3分の1程度だったということです。つまり、3億円の預金を持つ人は、それを預金のままではなくタワーマンションを購入することで、相続税評価額を1億円にまで下げることが出来るのです。

金融資産を不動産に換えることで相続税評価額を下げるのは、従来から行われてきた節税手法です。しかし、タワーマンションの場合には、その金額の下落幅が大きいことや、相続直前に購入し、相続発生後、間もなく売却するケースが目に付くことなどから、行き過ぎた節税策として問題視されるようになってきたのです。国税庁はこのような節税策について、今後、課税を強化するとの方針を明らかにしています。ただし、具体的な評価方法等については、まだ示されていません。

いずれにしても、特定の富裕層にしか購入出来ないような高額物件ほど、節税効果が大きくなるのですから、租税負担の公平性の観点からも、より適正な課税が求められることは間違いないと思われます。

 


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