中小企業応援団

減少する中小企業

中小企業は減少の一途をたどっている。中小企業白書によれば1999年から2012年までに約100万社が減少し減少率は 20 %を超える。川崎商工会議所でも会員企業数は減少し続けてきた。ロータリークラブ、ライオンズクラブや各種の経営者の団体の殆どが会員数の減少に頭を悩ませているのが現状である。
原因は産業構造の変化と長寿社会の到来である。

中小企業の繁栄は社会の活力

中小企業が減少しているとはいえ中小企業の雇用人口は 70 %、GDPの60 %を占めているのであり、かつ、GDPに占める内需の割合は90%を占めているのが我が国の現状である。

伊那食品工業会長の塚越寛氏は「利益は会社の「残りかす」賃金払ってこその企業」であると言っている(※1)。中小企業は雇用の継続が最優先であることは塚越寛氏の言葉通りである。私たちのお客さまの経営者でも〝いざ〟というときは自らの報酬をゼロにしても雇用を最優先する人が多い。金額では大企業にはかなわないが影響を受ける人口では中小企業の方がはるかに多いのである。したがって、中小企業が元気になれば社会が元気になってくると思っている。

中小企業の長短強弱

中小企業には良いところも多いが弱点も多い。それは、経営者個人の能力に依存する部分が非常に多いことである。最近お聞きしたある中小企業団体の会長職にある方の話であるが、その団体ではビジネスマッチングや商談会などをやっているが、自社の案件をこのシステムに乗せようとして検討したが、いろいろな課題があって断念した、とのことであった。何が課題かお伺いしたところ、技術は素晴らしいものを持っているが、品質管理の問題や安定発注するにあたって品質保証や生産体制ができるかと言うことであった。ISOや5Sやシステムとしての生産管理思考が希薄なように思えた。

「タカタ」のエアバッグ問題に象徴されるように、これから自分たちが作った部品・製品がどこで使われるか、市場がグローバル化している現在小なりといえども、いつでも国際社会、世界に通用するような企業体質に造り替えるように意識改革してほしい。団体の長として傘下の会員企業へこのような指導や研修の必要性を痛感したと感想を述べられていた。

中小企業応援団

ちょうどこのような時に、川崎に中小企業応援団が誕生した。『一般社団法人 かわさき中小企業応援団』 である。「中小企業は国の宝、中小企業の繁栄は社会の活力」の理念のもと、中小企業経営者の〝悩みごと〟〝困りごと〟を現場レベルで経営者のブレーンとして中小企業を応援したいという思いで地元の工業団体の事務局長だった上澤定夫氏(※2)が中心となって昨年 12 月1 日に設立した。

氏は 55 歳で長年勤めたソニーを早期退職し、海外工場での生産技術や製造技術の現場経験を買われ、県内の中堅や専業大手のものづくり企業の改善に携わってきた。縁あって中小企業の団体の事務局長を務めた折り中小企業の実態をさらに深く知り、 磨けばピカピカに光る企業が沢山あることを知って、この応援団を立ち上げた、と語っている。

上澤氏を中心に企業内で改善や改革を実践してきた現場力の強いプロ集団やコンサルタントが集まって中小企業の現場に入って、中小企業経営者の〝悩みごと〟〝困りごと〟を解決して中小企業の成長を応援することをめざしている。

私は「応援団」を応援します

私は税理士として多くの中小企業の税務申告を通じてお客さまの経営の一端に係わってきている。とくに一昨年の 50 周年を機に事務所の方針 として「税金のための会計から、経営のための会計へ」という基本方針を立て「お客さまをぴっかぴかにしよう」という「PPP」運動を始めようとしている。私たちは数字の上から経営のアドバイスはできても、中小企業の現場に立つことはできない。数字だけでは追いきれない中小企業経営者の悩みごとや困りごとにどうかかわっていったらよいか模索していたところである。

このようなときに、中小企業の現場レベルに入り込んで中小企業の困りごと、悩み事を解決しようとする人々に出合えた縁に感謝し、この生まれたばかりの『かわさき中小企業応援団』を応援し、お客さまである中小企業のお役に立つように、成長を見守っていきたいと思っている。

(※1)日経ビジネス2014年 12 月1日号102P)
(※2)上澤定夫氏の連載を7Pに掲載しています。

(税理士法人LRパートナーズ  代表社員  小川 湧三)

 


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