「売上」ではなく「粗利」で考えましょう

景気が安定せず、経営環境も厳しい状況が続いていますが、経営環境に応じて会社の売上が変動するのはやむ得ないところです。では、売上が変わると会社の利益はどのように変わるのでしょうか。

例えば、売上高1億円、売上原価6千万円、経費2千5百万円、利益1千5百万円の会社の売上が 10 %ダウンしたら利益はどうなるのでしょう。

利益も 10 %ダウンする?とお思いかもしれませんが、実はそうはならないのです。

利益がどう変化するかを見るにはまだ情報が足りません。 売上高は「売上単価」×「販売数量」です。従って売上高がダウンする場合、販売数量(「Q」 とします)がダウンした場合と 値引き等で売上単価(「P」とします)がダウンした場合の2通りの理由が考えられることになります。(現実はこの2つの要因が組み合わさっているわけです)

それでは、「P」が 10 %ダウンした場合と「Q」が 10 %ダウンした場合では利益の金額は同じなのでしょうか?

まず、「Q」が 10 %ダウンした場合を見てみましょう。売上高は9千万円です。販売数量が 10 %ダウンしていますので、売上原価も 10 %ダウンして 5千4百万円になります。経費は変わりませんから2千5百万 円です。結果として利益は 1千1百万円となります。 4百万円の利益ダウンですから約 27 %のダウンです。

次に、「P」が 10 %ダウンした場合を見てみます。 この場合、売上高は9千万円ですが、売上原価は販売数量が変わらないので6千万円です。 経費も2千5百万円で変わりません。そうすると利益は5百万円ということになります。こちらは1千万円の利益ダウ ンですから約 67 %のダウンです。

このように同じ売上高が 10 % した場合、ダウンの要因によって利益ダウンの額が違ってくる のです。これは両者の場合で粗利総額 (売上高 売上原価)が違うからです。 利益は粗利総額の中から経費を差し引いた金額です。利益は粗利総額の中から生み出される ものです。

経営においては、いかに売上高を確保するかではな く、粗利総額を確保するかが重要なのです。 売上高を確保することは大事なことですが、それは粗利総額を確保するために必要なことだからです。

常に粗利総額で経営 を考えるくせをつける必要があると思います。

 

LR小川会計 代表取締役 小川 泰延

 


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