創業型社会を目指すには

相続が七万社を潰す・増税地獄から会社を守れ

これは4月5日号の日経ビジネスのタイトルである。

会社を潰す相続の仕組みは法定相続分と遺留分制度である。これに輪をかけて後押ししているのが相続税・贈与税の制度である。

そしてもう一つ社会的背景として長寿社会の到来がある。詳しいことは「日経ビジネス」に譲ることとして、一昨年これらに配慮して「経営承継円滑化法」が成立し、合わせて相続税、贈与税の納税猶予制度が昨年 (2009年)成立した。相続による紛争に対しては一応の手を打ったといえるのではなかろうか。

ただし、この円滑化法が民主党政権で反故にされないよう祈るが、それでも世間に定着するのには 10 ~ 20 年の歳月がかかるであろう。 20 年遅かった、と感じている。

創業型社会を目指せ

毎年恒例である日本M&Aセンターの今年の国際会議(スペイン)のテーマは「事業承継から企業生き残 りへ」というテーマであった。

2008年は事業承継元年と言われていたが、 2008年9月のリーマンショックを経て2010年の国際会議では「事業承継から事業生き残り戦略へ」 と大きく状況が変わってきたと言うのである。言うまでもなく、リーマンショックで顕在化したグローバル化の波がチリ地震の津波のように日本へ押し寄せてきているのである。

このような状況に適応するにはグローバル社会に対応できる活力ある社会・創業しやすい社会をつくるよう、ポジティブに考えることである。

創業型社会を創造するには

創業型社会の典型はアメリカである。われわれの記憶に新しいところでも、アップル・マイクロソフト・ヤフー・アマゾン・グーグルなど、新しい産業を作り出している。

これらの創業の仕組みをよくみると、資金の調達の仕方が日本と決定的に違っていることがよくわかる。企業を創業するにはアイデアや信念だけではダメで、それを実現する時間とその期間を支える資金が必要となる。

アメリカで2000年以後急速に成長してきたアマゾン・グーグルなどの企業は、アイデアから立ち上げ、ヤフーやマイクロソフトを追い越すまで膨大なF(開発費)をかける資金調達ができていたことに起因している。このような資金調達できる環境は現在の日本では整ってはいない。

お金を出せる人がお金を出して報いられる社会

創業するときは先ず家族、友人がお金を出し合い創業を助ける、次いで地域の篤志家などがお金を出す。このようなお金の出し手を優遇する社会でなければならない。

アマゾンにしろ、グーグルにしろ当初の資金はこのような投資家から集めているのである。期間損益の赤字に一喜一憂せずに、信念・理念にしたがって自分のビジネス・モデルを追求していく、それを支える膨大な資本が必要なのである。

それには、日本型の間接金融システムでは対応できない。 税制を含めて直接新規創業者に「お金を出せる人がお金を出して報いられる社会」や仕組み、出しやすい社会へ転換する必要があ る。

しかし、お金持ち(お金の出し手)を優遇する政策は「企業利益は悪」と考える民主党政権では、夢のま た夢であろう。

LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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