自分年金をはじめよう

桃源郷への入り口まで来た日本

今年のお正月は天候に恵まれ、今までにない穏やかなお正月であった。年末、派遣村など一昨年来続いてきた冷たい不況の風もあるが、お正月にお屠蘇をいただきながら、図にあるような私自身の「平均余命表」をじっくりと眺めてみた。

私は既に生まれたときの平均余命より27年もの長い人生を享受しており、そのうえ健康に恵まれれば更に24年もの年数を過ごすことができるのである。

高齢化社会と言われて久しいが、長寿社会は本来人間が待ち望んでいた社会である。日本はこのような桃源郷への入り口まで来ている。長寿社会が本当に桃源郷といわれる理想の社会になるには、ロハス(*)に根ざしたスローライフの満ちたりた気持ちで暮らせることであろう。

特に縮小期に入った日本では、グローバル世界の中でこのような循環型社会を構築することが、望ましいと考えるのである。

桃源郷への道

私は昨年脳のCT検査や心臓のカテーテル検査を受けたが非常に負荷の少ない検査でいまさらながら医療技術の素晴らしさを実感したのであった。しかし、一方医療や介護や子育てや色々なところにひずみを露呈しているのも事実である。

このような問題をどのように解決するか。私はこの問題について「生存コスト」として平成20年7月号で取り上げたが、生産年齢を超えて生存するために必要な生活費や医療・介護費用等は「生存コスト」として、生産年齢の期間中に準備すべきものとして論じた。

桃源郷への道は一に健康であること、二に経済的自立を維持すること、三に年齢相応の社会的役割を担うことである。もちろん、個人・企業・国それぞれの役割はあるとしても、経済的に自立することがその根幹であると考えている。

国や企業の制度には頼れない

一昨年から日本の人口は、出生数より死亡者数が多い人口減少社会に入り、日本経済は縮小期に入った。国は今年度の予算を見てもわかるとおり、税収を超える国債を発行して子育て手当てや教科書無償化を実施しようとしている。

第二次大戦後イギリスが「ゆりかごから墓場まで」の掛け声で社会福祉を充実させ、世界の模範と言われたが、サッチャー改革が始まるまで経済は停滞してしまった。

日本もここ数年の年金騒動に見られるように国の年金制度は破綻状態になっており、国にどこまで頼れるか大きな懸念が残っている。一方、企業は従業員や社員のために厚生制度として年金や退職金制度や福利制度を持っている。しかし、これらの制度はグローバルな企業競争社会に入った今、企業は自らが存続できる条件の枠内でしかこれらの制度を維持することはできない。

かっては「GMに良いことはアメリカに良いこと」と言われたGMも、リーマンショックのあと年金制度の重みで破綻し、政府の支援を受けて再生への道を歩み始めた。私たちの目の前ではJALの社員は経営再建の過程でOB社員の年金30%減額、現役社員は50%削減と言う試練を受けている。もう企業にも頼れないのでのある。

経済的自立を図るため「自分年金」を始めよう

長寿社会で経済的自立を図るには、長い老後のために仕事を始めた時から自分年金を作る事である。国の年金や企業年金は人生の褒美と考えて自分の生存コストは自分で準備しよう。

自分年金は ①個人型確定拠出年金 ②年金保険 ③投資信託などがある。これらは毎月定期的に積み立てるものである。「日掛け、月掛け、心がけ」の合言葉で毎月根気よく続けることが望ましい。

特に個人型確定拠出年金は枠組みがしっかりしており、確定給付型の企業年金が行き詰まりその代替制度としてアメリカで普及していた「401k」型年金制度を模範として作られたものであり、加入者個人が運用責任を負う制度として2001年に国が作った「自分年金」制度である。

年金保険は保険会社の内容により給付金のカットが行われた過去があるが、低金利の今は金利が上昇すれば給付金が増額される可能性がある。自分年金を始めるには思い立ったらすぐ始めよう。特に若い人たちにとっては早すぎることはない。

※ロハス( Lifestyles of Health and Sustainability ) : 健康と持続可能性に配慮したライフスタイル

税理士法人LRパートナーズ 代表社員  小川 湧三

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ