苦悩する中小商店と商店街

現状を直視しよう

景気に明るさが見えてきて、異論もあるがデフレ底打ち感やデフレ脱却を視野に入れた論調も見られるようになってきた。

しかし、下に掲げた図表は当事務所が長年お世話になっているお客さまの昭和40年代初め頃から現在までの年間売上高の推移を対数グラフで表わしたものである。

バブル崩壊と共に始まったデフレの影響が見事に表わされている。おおむね昭和から平成に年号が変わる頃にピークをつけ、バブルの影響を受けながら必死の努力を続けながらも頽勢を回復できずに平成5-9年ごろには50年代初めの水準まで売上高が落ちてしまっている。

この頃から、いわゆる「貸し渋り」「貸し剥がし」が猛威を振るい資金循環がとまったため、矢尽き力尽きて為すすべも無く坂を転がり落ちるがごとく衰退が始まっているのが手にとるように良くわかるであろう。

中小商店はカラーチップ(*1)のない「1個体制」企業か?

いま地域の商店の中で目立っているのは「コンビニ」「スーパーストア」「ファミレス」ラーメンや居酒屋などの「ファランチャイズ」店である。これらの業態は異業種の参入を容易にし、特に新住民といわれる消費者のニーズにあわせて普及してきた。

一方従来型の中小商店はニーズに応えきれず魅力を失い顧客が離れている。この状態はマネジメント・ゲームでいうカラーチップのない「1個体制」企業のように見える。

中小商店の再生に近道はない

多くの中小商店の状況は昭和50年代初めに近い水準である。当時と現在の違いは商圏が広域化して地域間競争の時代に入ったため顧客が分散してしまったことである。新住民が多く、車社会となって「ご近所」を必ずしも利用するとは限らない。

しかしまた、良い店、輝いている店であれば少々遠くても来店してくれる時代でもある。そしてお客さまをひきつける新しいタイプの業態のお店は現代にマッチした特長を備えており、何らかのカラーチップを持っている。

中小商店や商店街の再生に近道はない。まずは自店の特色(カラー)を持とう。そのためには自店を見直すための店主・経営者自らへの自己投資である教育研修投資→情報化投資から始め、自らを変革しあきらめに似たムードから脱却しなければならない。その努力の積み重ねとチャレンジ精神で個店が輝き出し、ひいてはその集合体である商店街が再生されるのである。

*1(カラーチップ)マネジメント・ゲームでは企業の強みを①情報化投資(緑チップ)②広告宣伝投資(赤チップ)③研究開発投資(青チップ)④教育研修投資(黄チップ)の色別チップを使っているので投資を総称してカラーチップといっている。

(小川 湧三)

 


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