デフレはまだ続く?

景気回復の兆しは本物か

10-12月のGDP実質成長率が年率7.0%名目成長率2.6%という13年ぶりの高い伸びとの報道があった。昨年のりそな銀行への公的資金導入以来、金融機関の株価を中心に株式市場が活性化に転じた。日経平均は一万円を回復し、輸出産業を中心に景気回復の兆しが見えてきている。

しかし、仔細に見ると2001年の国内製造部門の中国シフトによる産業空洞化と系列切り捨て政策による系列下請け企業の衰退により、いまだ多くの会社閉鎖が続いており、併せて地方経済の停滞が一層進んでいる。

経済のグローバル化によって輸出産業が活況を呈しても、限定的にしか内需に及ばない産業構造になってしまい、国内の下請け型製造業へ波及効果が及ばない三国間貿易型の様相を見せている。

そのため統計上の景気が良くなっても、実感としての景気回復を感じることができない。大リストラによる失業率の高止まり(13年ぶりに改善したとはいえ4.9%)は、デフレの影響をそのまま反映して、百貨店やスーパーストアなどの個人消費の低迷は依然続いているのである。

デフレの恐怖は塀の中に落ちてみなければ解からない

新幹線に人が飛び込み先端に大きな穴があいた。自殺者が三万二千人を超え、自己破産が続いている。川崎市では野宿生活者(ホームレス)が1000人を超えて、野宿生活者の自立支援としてワンナイトシェルター&相談施設を建設しようとして地元住民とのトラブルが発生している。

総中流意識から「塀の外と内」の二極に分かれて塀の中に落ちる人が多くなってきている。1989年に700兆円だった個人金融資産を1400兆円にも積み上げた平成時代に年金生活に入った(年金貴族ともいう)人たちにとってはデフレ時代はこんなに良い時代はないと言えるかもしれない。

しかし、逆にデフレの影響を受けてリストラや賃下げに遭って家庭崩壊を引き起こしている人たちも多い。これらの恐怖は当事者でなければ判らない。

デフレはまだまだ続く

景気回復基調を背景に年金改革やプライマリーバランスの改善を目指して個人所得税や消費税の増税路線が明確になってきた。橋本政権の末期のように循環的な景気回復基調をデフレからの脱却と誤って判断し、増税路線に走り、その後の景気をさらに低迷させた二の舞にならないように注意深く見つめなければならない。

消費税の総額表示の強制はユニクロが価格表示を変更せず実質的に消費税分を値下げすること決めたようにデフレを加速させる価格引き下げ要因となる。

また、足利銀行は再建を目指して地元企業への債権査定を厳しく行う方針を出し、地元企業に倒産が多発しそうだ。

地域経済がどうなるか地元商工会議所では個別企業の再生ではなく、まとめて地域再生を求めている。来年のペイオフ完全実施を目前にして秋から始まる地域金融機関の再編のモデルとして足利銀行の処理をみんなじっと息を凝らして見つめているのである。

(小川 湧三)

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ


 

会長

前の記事

税制改正の行方