よい経営、経営者とは

売上がゼロになる日、会社が突然消える日

鳥インフルエンザ、SARS、BSEが大きなニュースとして報道されている。不幸にも、鳥インフルエンザでは、創業者である養鶏会社の会長が自殺してしまった。悲惨なことである。

ある日突然、売上がゼロになる現象が発生し、経営の危機が訪れる。アメリカの巨大監査法人のアーサー・アンダーセンは、エンロンの不正に係わったことが発覚して100年以上の歴史が瞬時に消滅してしまった。

雪印乳業、日本ハム、貸し剥がしにあった多くの企業、中国シフトによる系列解消により廃業に追い込まれた企業、足利銀行の融資先企業など多くの企業はなすすべもなく消えてしまった。これらの企業の経営者はすべて経営者失格なのだろうか。

良い経営、良い経営者とは

良い経営、良い経営者とはどんな経営、経営者を言うのだろうか。経営者は結果責任を問われるものだとすれば、経営者失格の評価も止むを得ない。経営者というものは、企業として生き残ることが大前提で、その上で結果を出して初めてよい経営者といわれる厳しいものである。

経営者の鑑と云われた松下幸之助氏にも幾たびか経営危機が訪れた。創業時の苦労は云うに及ばず、現役を引退し会長職にあったとき、「熱海会議」といわれる会議において非常事態を感じ取り営業本部長代行の現役に復帰し率先経営の危機を救ったことは有名である。

これら経営者の明暗を分けるのはなんだろうか。経営者とは社長になったから経営者になったのではないし、事業を起業したから経営者として完成したわけでもない。経営者として歩みだしただけなのである。経営に関する諸々の意思決定にかかわりながら、適切な意思決定ができるようになって初めてよい経営者といわれるのである。

中小企業の経営者に求められるもの

転変極まりない経営環境の変化に対応し適切な意思決定が出来るようになるには経営者の絶えざる自己革新が求められる。

中小企業であればあるほど経営者は小さな変化にも対応できるように自己啓発をしていかなければならない。いわゆる「鳥の目、兎の耳、カモシカの足」といわれる能力である。

一つは物事の変化を敏感に感じ取る感覚やものを見る目であり、大局を掴む能力、大局観である。もう一つは、情報収集能力を磨くことであり、三つ目は意思決定能力とすばやい実行力であり、適切な意思決定に必要な知識や知恵である。

しかし、変わってはならないものもある。それは企業や事業、自らの職業に対する熱意や執着心である。そして、その基礎となるものがそれぞれの企業の創業精神であり、経営者の理念ないし経営哲学ともいうべきものである。

経営は、十人の経営者がいれば十の経営があり、百人の経営者いれば百の経営がある。それは経営者がもつ個性がその経営の企業風土といわれるものを醸し出すからである。

中小企業の経営者に求められるのは、事業を継続発展させて行くために、経営者としての自己啓発投資をいかに積極的に行うかに懸かっていると言えるのではなかろうか。

(小川 湧三)

 


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