地域通貨・・・不況下の地域振興策の切り札になるか

地域通貨とは

日本で地域通貨が注目されたのは、NHKで1999年5月4日に放送された「エンデの遺言―根源からお金を問う」(同名の著書・著者:河邑厚徳+グループ現代・出版:NHK出版)からではないかと思います。

1830年代前半、イギリスのロバート・オーウェンなどの社会主義者たちが考案した「労働貨幣」の実験から、さらに進み1929年の世界恐慌を契機に不況から脱出する手段としてオーストリアのヴェルグルで地域通貨を発行することにより克服しようとしたところから始まりました。

法定通貨とは別に発行される補助通貨的な性質を持つ商品やサービスの交換スタンプ等は、150年近くも経った1983年地域の経済を活性化するために、あるいは環境を保全するためにと、さまざまに目的と姿を変えてよみがえりました。

その多くは地域に根ざしており地域通貨(通称LETS(Local Exchange Trading System))と総称されて、現在世界中に登場してきたのです。アメリカではドルを補強するものとして容認されています。(同書p.180)

地域通貨の理論的背景

地域通貨の理論的背景はシルビオ・ゲゼルの交換機能と価値表示機能だけを持ち、価値保蔵機能を待たせない貨幣、貨幣の価値保蔵機能から派生する利子を認めない、むしろ保蔵によって価値を減価させる貨幣を創造させることによって貨幣の流通を強制するシステムの中にある貨幣を提唱しています。

地域通貨はこのゲゼルの貨幣理論を背景とし、スタンプを貼るとか、残高に一定の%の保管料をチャージすることにより減価させ、保蔵を防ぎ流通を強制する仕組みを取り入れていることです。

長引く不況と地域通貨による地域振興

地域通貨は不況により経済の停滞した地域において、住民が新たな信用システムを創り出し、地域を活性化させるために草の根の中から生れたものです。日本ではすでに10年以上不況が続き、3月16日政府はついに「デフレ宣言」をしました。日本でも長引く不況に耐えかねて各地で地域活性化を目指し、その一つとして地域通貨に似たいろいろな試みが行なわれています。

地域通貨はなぜ地域振興につながるか

新聞やテレビでもデフレからの脱却するために日銀の量的緩和政策を求める声が上がっています。

地域通貨は、地域における「通貨の量的緩和」政策の地域版みたいなところがあります。商品券に似たところはありますが、商品券のように一回限りの使用ではなく、商品券のまま転々流通し決済手段として使用されることです。

徳川時代における「藩札」と比べて見ると分かりやすいかもしれません。限定された地域内グループ内で流通し地域通貨には貯蓄し、利子を得るという概念はありません。したがって、転々流通することを使命とするため地域内の取引を活性化するところにあります。

(小川 湧三)

 


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