中小企業・小規模事業者における人手不足への対応

日本では、人口減少・少子高齢化により生産年齢人口が減少し、人手不足が大きな課題となっています。

こうした背景の中、中小企業庁は、「中小企業・小規模事業者におけるデジタル化は、人手不足のボトルネックの解消に資する上、中小企業・小規模事業者の持続的発展を支える鍵となる」と位置付けています。

今回は、『中小企業白書2023年版』より、デジタル化による業務効率化を達成した企業の事例をご紹介いたします。

❖ デジタル化により出荷業務の効率化につなげた事例

青森県で医薬品卸売業を営むH社は、在庫管理等がデータ化されておらず、発注業務も従業員の勘と経験に基づいて行われるなど、非効率な業務による長時間の残業や過剰在庫が課題でした。

そこで、まずは販売管理の基幹システムを導入し同社が保有する情報の整理に着手。保管場所等の在庫データを一元管理することで、薬の仕入から出荷までの流れを効率化しました。

その他、顧客管理・営業支援ツール等の導入も進めることで、効率的な出荷業務、適正在庫量の維持、従前の2倍の出荷量への引き上げを可能にしました。

また、在庫管理のデジタル化により人為的なミスがなくなり、誤出荷率の減少にもつながりました。

❖ 業務時間の大幅な削減に成功した事例

新潟県で銅製品の製造・販売を行うJ社は、人材不足への対応として生産性向上を図るため、DXの取組に着手。

AIやRPAの導入前に、既存業務の棚卸と現場の改善活動を実施し、「デジタル化でできること」の明確化を徹底させました。受注業務の工数削減に取り組んだ際は、まずあるべき受注業務の姿を検討し、業務の全体像を把握したところ、顧客に起因するイレギュラーな業務が一定数あることが判明しました。

そこで、顧客も巻き込み改善活動を行ったところ、42あった工程を9工程にまで削減することができ、RPAの導入により、受注業務の時間を75%削減することに成功しました。

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ここまで見てきた通り、デジタル化は業務効率化へのインパクトが大きく、これからも続く人手不足への対応として積極的に取り組むべき課題であるといえます。

 



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