コロナ後の中小企業の課題

 

❖ 足下の業況は感染症流行前の水準に戻りつつある一方で、深刻な人手不足など引き続き厳しい状況が続いています。こうした中、様々な課題に対応している事例をご紹介します。

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❖ 経営環境は物価高騰により、収益減少等の影響を受けている他、人手不足も深刻な状況にあります。人手不足への対応としては、正社員やパート社員の採用のほか、業務プロセスの見直しによる業務効率化、社員の能力開発やIT設備投資による生産性向上に取り組む動きが見られます。

熊本市の運送事業を営むH社は人手不足をきっかけに、配車業務の効率化と情報共有の迅速化を実現、倉庫業へも本格的に進出し、倉庫管理情報もシステムで連携することで、総合物流サービス業への発展を図っています。

❖ こうした生産性向上の取組だけでなく、給与の引き上げや職場環境の改善などの魅力向上に取り組む動きも見られます。滋賀県で金属加工を営むS社ではかつて離職率が40%という高水準でした。こうした状況を改善するため抜本的な改革に着手。ジョブローテーションによる従業員の多能工化を実施し、互いに業務をカバーし合うことで7日間連続休暇を取得できる体制を構築。

又、子育て世代の女性従業員の職場復帰のフォローや男性従業員にも5日間連続で育休取得を義務付ける制度を導入するなど子育て世代の従業員が働きやすい環境を整備したことで離職率は数%と大きく改善し、人材が定着。地域においても「働きやすい企業」というイメージを獲得し、優れた人材の確保にも寄与しています。

❖ 中小企業の賃上げの動きは進みつつあるものの、賃上げが難しい企業も一定程度存在しています。賃上げの原資を確保する上でも、取引適正化などを通じた価格転嫁力の向上とともに生産性向上に向けた投資を行うことが重要です。

埼玉県の鋳物製造業I社は鋳造造形機の更新、機械加工の内製化、受注システム導入等で生産性向上を推進。取引先には原材料高の根拠を示して交渉し、価格転嫁を達成。パートナーシップ構築宣言を実施し、発注先からの転嫁も受け入れました。

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❖ このようにマクロ経済環境が激変する時代を乗り越えるには価格転嫁に加えて、「国内投資の拡大、イノベーションの加速、賃上げによる人材の確保」を実現していくことが重要であると言えます。

《参考文献》2023年版中小企業白書

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