少子化対策国民運動


異次元の少子化対策

6月13日に「こども未来戦略方針」が発表された。これによると「Ⅱ、こども・子育て政策の強化:3つの基本理念」の中身を、政策課題として

①若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けない。
②子育てと両立しにくい職場環境がある。
③子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する。

という3つの現状分析を行ったうえ、さらに、3つの基本理念として

①若い世代の所得を増やす。
②社会全体の構造・意識を変える。
③全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する。

さらに、政策が目指す将来像として

①こどもを生み、育てることを経済的な理由であきらめない。
②身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てられる。
③どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持てる。
④こどもを育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられる。

が掲げられている。

岸田政権が少子化について異次元の少子化対策を掲げて取り組むことは、遅すぎるとはいえ歓迎すべきことである。

少子化の対策の中心は何か

少子化の原因については、先月号で指摘したように「チャイナ・デフレ」による中小企業群の崩壊とそれに伴う中堅・中小企業の賃金労働者の解雇や賃金カットなどのように低賃金化が大きな要因となって分厚い中間層が崩落し貧困層に転落したことにあると指摘されている。

追い打ちを掛けるように昨年から始まったアメリカの利上げによる円安は日本の円の対外価値を下げ来日する外国人労働者にとっても日本で働く魅力は失われ来日希望者は激減しているとのことである。

また、雑誌Wedge8月号(p.16〜17)の中で「孤育て」という文字を見て、ここまできているかという感想を持った。「孤育て」とは同紙の解説によると「今の子育て世代は、核家族化や地域社会とのつながりの希薄化が進んだ結果、相談できる人が近くにおらず、夫婦だけで子どもを育てる孤育て状態の人が多くなっています」「他の人の子育てを見たり、手伝ったりする機会も少なくなったため、自らの出産によってはじめて赤ちゃんと接する人が少なくありません。」”孤育て” 事情が紹介されていた。

地域社会が崩壊し、家族が崩壊し、家庭が崩壊した姿が「孤育て」に象徴されているのではなかろうか。

中小企業の再建と復活

私は「中小企業は国の宝、中小企業の繫栄は社会の活力」と思っている。チャイナデフレは中小企業の中核である中小製造業企業を崩壊させたものと思っている。このことは機会あるごとにこの ”ほっとタイムス ”でも指摘しているところである。少子化対策としては分厚い中間層を作る意味でもこの中小企業を再建することほど重要なことはない。

しかし、いま製造業の中国からの回帰が始まりつつあり、また、半導体をはじめとするモノづくり産業や、防衛産業の国産化によるモノづくり企業の再生・再編が始まり、政府の強力な後押しが望まれるところである。

家族の再建と復活

7月17日の日本経済新聞に「家族とは」を考える記事が掲載され、歌手・俳優の中尾ミエさんの「疑似家族」や入居者が互いに家族と思って暮らす「拡張家族」、シェアハウスで子どもを育てる家族に寄り添う「シェアハウス家族」が紹介されていた。

少子化が社会問題となり、昔は「3世代世帯」で育てていた子育てが孤立した中で高度成長期の中で地方からの人口流入が進み、団地世代が中心になって田舎の出身地にいる親世代の家族と離れ離れになって、家族の分断が始まった。いま、その団地世代も高齢化を迎え空き家問題が急増している。一方で若年層は貧困化に直面し家庭の崩壊の危機に瀕しているのである。このような環境の中で先ほどのようないろいろな家族の形態が生まれてきているのである。

家族の再生・3世代連坦居住

子育て・少子化問題で国民運動を起こすなら日本に未だ残っている日本の家族の絆を取り戻す政策を訴えてほしいと願っている。

その一例として「3世代連坦居住」を進めていただきたいものである。「3世代連坦居住」とは、「向こう3軒両隣」ではないがマンションを「父母」「親世代」「子世代」が両隣に連坦して居住できるような政策を進めてほしいものである。必ずしも連坦する必要はない、同じマンション内、あるいはスープの冷めない距離に家族が生活できる環境を作れるような政策を進めてほしいのである。

 



 

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代表 小川 湧三

 

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