第56回 ブロックチェーンゲームで小学生が月2万円稼ぐ時代が到来❽

情報セキュリティ連載
第56回 ブロックチェーンゲームで小学生が月2万円稼ぐ時代が到来❽

5 大手企業がメタバースに参入する狙い

前回はWeb3の実現性についてお話させていただきました。

今回はWeb3に影響を与える企業について取り上げたいと思います。

★ GAFAMの牙城をどう崩すか

まずインターネットの世界をWeb3化する上で、金融からインフラにまで多くの影響を与えるインターネットの世界を作り上げた米AppleやGoogleを始めとするIT大手の影響力をどうするか、という問題が出てきます。

2025年までに新設される海底ケーブル31.5万キロメートルのうち、出資する企業、米国GoogleとMeta(旧Facebook社)が約半分を担うという報道からも、通信インフラへの影響力をさらに増している状況です。

この様な状況をみるとやはりWeb3は夢で終わってしまうのではと思ってしまいますが、この問題についてゲーム業界で起きた訴訟が大きなヒントとなります。

この連載でも取り上げましたが、2022年1月に締結された米マイクロソフト社による米ソフト大手アクティビジョン・ブリザードの買収に米連邦取引委員会(FTC)が差し止め訴訟を起こしました。

アクティビジョン・ブリザードは3億6千万人のプレーヤーを抱える人気ソフトを手掛けており、ソニーグループがゲーム市場の専有化を招きかねないと訴えていたのが認められた形となりました。

★ Web3の世界ではアプリケーション開発者が鍵をにぎる

Web2の時代ではマイクロソフトやGoogleなどコンピュータの基本ソフト開発を成功させている企業がその市場を独占できる状態でした。

しかしながらブロックチェーン技術を基盤とするWeb3の世界では、データやコンテンツは特有のハードに依存する形を取る必要がなくデータやコンテンツは独自で自立して利用者に提供できる仕組みになっています。

仮にアクティビジョン・ブリザードがゲーム開発をプレイステーションやXboxなどのゲーム専用機ではなくブロックチェーン基盤で開発するとなればどうでしょう。3億6千万人のユーザーを抱える企業なだけに、ゲーム業界でのゲーム機開発会社の立ち位置も大きく変わる可能性を秘めています。

★ 金融業界でもWeb3化の動き

さらに現実的に起きている現象としては、金融業界にも同様の変革があります。

Defiと呼ばれるブロックチェーン技術を基盤とした自立分散型金融システムが東南アジア、アフリカ諸国に普及し始めています。

このサービスはインターネットにつながる機器、スマートフォンやパソコンがあれば誰でも利用できる金融サービスであり、出稼ぎが多い労働者が国で広まっています。

旧来の換金送金システムは日数がかかりさらに手数料が高額であるのに対しDefiは換金送金は瞬時、手数料も数十円程度で済むもので結果ユーザー数が伸びることになりました。

また金融先進国でもWeb3化が進められています。

米モルガン・スタンレー銀行も米国債権などをトークン化しDefi上での運用を検討し始めています。

現状ではまだAppleなどのOSに依存するシステム内でサービスが展開されるのが定石となってますが、課金料の高さや様々な規制下での開発が強いられており、構造上の問題の解決がWeb3をきっかけに起きています。

今ゲーム業界で起きている訴訟が物語るように、人気のあるコンテンツやユーザー目線に立ったコンテンツを作成している企業がより独自性を確立し、ゲームチェンジャーとなっていくと思います。

次回はWeb3上でのセキュリティについてお話させていただきます。

《参考文献》

•『ゲームも米テック独占警戒 マイクロソフトをFTC提訴成長市場  囲い込み阻止』
 2022年12月10日付 日本経済新聞

•『「Web3」時代の戦い方(Deep Insight)』
 2022年10月22日付 日本経済新聞

•『数兆ドル規模の伝統的資産をトークン化し、DeFiへ:JPモルガン』
 2022年 6月 13日付 コインデスクジャパン

 

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