77年周期説

戦後77年

今年は昭和20年8月終戦後77年目に当たる。明治政府が発足してから昭和20年まで77年、この第二次世界大戦前と戦後を2期に分けて株価(下図参照)を通じて対比した記事が日本経済新聞に掲載された。

内容を紹介したい。

❖「今後数年間のテーマは「清算」だ」。「日本政治と市場の関係を長年、研究してきたSBI証券の北野一金融調査部長は話す。」

❖「北野氏は1868年と1945年を起点として歴史的な出来事を並べた「パラレル年表」を作成したところ、同じような時間軸で似た出来事が起きているのを発見した。」

❖「現在、国の債務残高(国内総生産比)は米国の134%、イタリアの155%を大きく上回る259%。一方、(中略)1944年度の経済規模に対する比率は約200%。これとは別に日銀の帳簿外に占領地の中銀が発行した銀行券(現地調弁)が国債残高の5倍もあったという。」

❖「北野氏は終戦後、国民負担で国家の債務整理が進められたように、財政赤字と日銀のバランスシートの「清算(圧縮)」がこれから始まると考える。」

令和4年は「昭和20年」?

北野氏の77年説によると今年は前期の昭和20年にあたる。もし、そうだとすると、終戦=日本敗戦に相当する事件が起きるのであろうか。

元衆議院議員の藤巻健史氏は著書『Xデイ到来 資産はこう守れ!』のP.218で『「黒田総裁には出口がある(=無事任期を迎えられる)可能性があるが、日銀にはない」と揶揄していましたが、任期切れ前(2023・04)にXデイが来る可能性がかなり高くなったと今では思っています。』と言っている。

FRBが利上げを3月に実施して(0・25%、0・5%、0・75%、0・75%と)2・25%も連続利上げを実施、世界の中央銀行もFRBに追従して利上げを実施してきているにも関わらず、日本銀行は世界でただ一つ利上げを阻止する政策をとり続けている。その結果、円はドルに対して20円以上も円安に振れてきて、日本経済の支えになっていた貿易黒字も12カ月連続赤字になった。

今年はコロナの猛威、米利上げ、ウクライナ戦争、米中対立激化とブロック経済化、安倍元首相暗殺、地震・台風その他自然災害など何が起きてもおかしくはない混沌の時代の真只中にある。まさに敗戦直前の日本のようでもある。

終戦後何が起きた?

第2期の始まり昭和21年の敗戦の焦土の中で政府が行った財政がらみの主要な政策は次の4つである。

❖インフレ:昭和21年初~22年末の2年間で:約1200%

❖預金封鎖・新円切替:S21/2

❖ペイ・オフ:S21/10

❖財産税:S22/2

❖ドッジライン(財政・金融引き締め政策):S24/3

NHKが2015年2月16日に放送した「〝預金封鎖〟もうひとつのねらい」の中で当時の大蔵大臣がこんな発言をしている。「国債のデフォルトはしない。『天下に公約し国民に訴えて発行した国債である以上は、これを踏みつぶすということはとんでもない話だ』『取るものは取る。うんと国民から税金その他で搾り取る。そうして返すものは返す。』」

財産税について「『一億戦死』という言葉がある。みな一ぺん戦死したと思えば、相続税を一ぺん位収めてもいいじゃないか」と言っている。

これから何が起きる?

私はここ数年、「日本の財政リスクとその対策を考える」の題でセミナー、講演、スピーチをしてきた。

北野氏の「77年周期説」は私が恐れていたこと(戦後起きたこと:財政破綻措置と再建)が真近にあることを告げているのである。

北野氏が感じておられるように「財政赤字と日銀のバランスシートの「精算(圧縮)」がこれから始まる」こととして準備しよう。
おりしも、令和6年には改元を記念した新紙幣が福沢諭吉氏から渋沢栄一氏に代わる。準備も整っているはずである。タンス預金の流通禁止(新円切替)措置が取られる可能性は非常に大きくなった。ご用心。

 

 

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代表 小川 湧三

 

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