資産としての金投資を考える

クローバー通信 No.183

金

金価格が上昇しています。
その背景には何があるのか、保有する手段にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

1 金の特徴

金は限りある希少性の高い資源として、宝飾品、地金・コインの他、産業用の資源として重要な役割を果たしています。

また、金はその物自体に価値がある実物資産です。物でありながら「世界に通用するおかね」として普遍的な価値を保ち続け、金の保有量がその国の通貨を安定させる要因として機能しています。

世界中どこでも24時間取引でき、流動性・換金性が高い反面、保有しているだけでは金利はつきません。また金の取引価格は日々変動し、米ドル建てで決定されるため、国内取引価格は為替の影響をうけます。

2 金価格が上昇している背景

金の価格は米ドルの信頼度と密接な関係があり、米国の国家・財政危機などドルへの不安が高まると金が買われ、ドルが高くなると金の需要が減り価格が下がる、という相関性があります。

他にも、産業用の需給関係や、債券相場の下落、中国・インド経済の成長、金投資商品の多様化なども要因となります。

前回、金価格が高騰した2011年はリーマンショックでドル不信が高まった時期、その前には1970年代後半にオイルショックで不景気のインフレ(スタグフレーション)に陥った時期でした。

今回、コロナ危機に対処するため、世界的に国債を増発し巨額の財政出動を行っています。財政が悪化すれば金利と物価の上昇(インフレーション)が起きる可能性が高まることが予想され、現在の金価格の上昇の大きな要因となっています。また、金融緩和政策により「お金」があふれ、他に安心して投資できる資産が少ないことから、その投資先として「金」が選ばれているという側面もあります。

インフレリスクとは?

物価の継続的な上昇(インフレ)によって、金融商品の実質的価値が低減するリスクのこと。現金や固定金利の定期預金・債券などがインフレリスクに弱い商品といわれています。

3 金を保有する目的

⒈ インフレリスクへの備え
⒉ 資産分散
⒊ 宝飾品としての楽しみ
⒋ 短期的に売買益を狙う(投機)

インフレリスクへの備えとして、資産分散の一つとして、金の組み入れを検討しましょう。預金・債券・株式が信用の低下により紙くずになるリスクを持ち合わせているのに対し、金は世界中で流通している実物資産であり、価値がなくなる事はありません。また株式や通貨と違う値動きをするので、リスクの分散になります。

ただし、金を現物で保有しているだけでは、利息や配当など利益を生み出しません。また、経済が順調に成長し、通貨に対する信認が高まると、金は下落する傾向にあります。保有は資産全体の10%程度を目安にすると良いでしょう。

今この時期に金の保有割合を急激に増やす事は、高値で購入する可能性があり、いずれ価格が下がり損失が出る事も考えられます。

短期的に売買益を狙うなら、しっかりと情報取集して、余剰資金で行いましょう。

資産形成として純金積立を継続し、有事の備えとして換金性の高いコインなどを保有し、いざという時(有事や他の資産価値が下がっている時)に、売却して資金を使えるように備えてはいかがでしょうか。

4 保有する手段〈現物取引〉

金地金取引

メリット

金の現物を手元で保有できる

デメリット

盗難リスクあり、保管コストが掛かる、手数料が高め(少量だと割高)

金地金(バー):

地金は地金商や金属メーカー、商社などで購入が可能です。最低5g程度から購入できます。1gあたりの手数料・税込の販売価格は約7,500円(2020年8月18日現在)

金貨:

金貨は、金地金価格に加工コスト・流通コストが上乗せされた形で取引され、宝飾店やデパートなどでも購入できます。代表的なものに「ウィーン金貨ハーモニー」「メイプルリーフ金貨」など。購入は1トロイオンス=31.1035g(約23万円)~1/10トロイオンス(約2.3万円)。

純金積立

メリット

少額から始められる、自動積立ができる、盗難リスクなし、金の現物に交換できる

デメリット

手数料が高め、保管方法による業者の破綻リスクあり


金地金を毎月口座引落しで少量ずつ積み立て購入するシステムです。インターネットでの申し込みをできる業者も。またスポット取引を利用することにより、ボーナス月などで毎月の積立額に加えて臨時で買い増すこともできます。

保管方法には2種類あり、「消費寄託」は、保管会社が積み立てた金を運用する事で、その収益の一部を貰う仕組み。所有権は保管会社に移るため、破綻リスクがあります。「特定保管」は複数の顧客から金を預かり混合して保管する仕組み。所有権は自分が持つので、分別管理していれば、破綻した場合でも戻ってきます。

有価証券投資

メリット

証券口座で管理できる、業者の破綻リスク・盗難リスクなし

デメリット

金を手元に保有できない(保有できるETFもある)

金ETF

金地金で運用する投資信託を株式市場に上場した上場投資信託(Exchange Traded Funds)。株式と同じ様に証券会社で売買することができます。現在4本が国内の証券取引所に上場しています。直接金現物に投資する商品と、金価格連動債券へ投資し金現物の裏付けがない商品とあります。数千円~数万円から取引でき、一部金と交換できる商品もあります。購入・管理手数料が安いですが、自動積立はできません。

投資信託

金現物や金先物など、金に連動する金融商品に投資する投資信託。証券会社や銀行で購入できます。少額から始められ、自動積立も可能ですが、金ETFに比べて管理手数料が高めです。積立投資のポートフォリオの中に組み込むと資産分散になりますが、金の現物と交換する事はできません。

まとめ

この他に、記念硬貨やアンティークコインなどは、コレクターとしての楽しみであり、資産価値が下がりにくいのも特徴です。世代を超えて引き継げる資産として保有するのも良いでしょう。

金資産の保有には様々な手段があるので、目的と資産規模に合わせて、投資しましょう。有事の金買いではなく、有事に使える金をコツコツと備えておく事をお勧めします

 

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