第21回 セキュリティを高めクラウドツールを活用しましょう

情報セキュリティ連載
セキュリティを高めクラウドツールを活用しましょう

はじめに

働き方改革が急がれています。ニッセイ共同研究所の発表では2020年代半ばまでは、労働人口は現状を保つとされています。この発表から5〜6年は現状維持が可能となり、この状況下で労働力が減少しても生産性を下げない環境作りが急務となっています。

今回はセキュリティと生産性の向上の観点から企業データを安全に効率よく使用するためのクラウド保存のメリット、デメリットについてお話させていただきます。

個人では守れるデータも限られてくる

サイバー攻撃がAIで行われるようになってくると、個人や中小企業で管理しているパソコン、サーバーにあるデータの安全性はさらに低くなります。10年ほど前のコンピュータウィルスはパソコンを壊すなど、目に見える形でしたが、最近ではパソコンに感染すると中に潜んでデータを外部に送り続けるなど、形が全く異なっています。単独のウィルス対策ソフトだけでは完全ではありません。感染経路もUSBメモリ等インターネット経由以外からもあり、感染経路は想像以上に多くあります。

この記事の執筆中にも、特定のランサムウェアの攻撃の危険が高まったとして米国マイクロソフト社がサポートを終了した、WindowsXP、Vistaを含むWindowsOS、4バージョンにつき緊急更新ソフトの配信を決めました。サポート終了したOSに緊急配布ソフトの配布は異例です。

このように、企業に対してのランサムウェアや標的型攻撃のウィルスの攻撃の増加が減らない要因の大きな理由の1つが、会社独自でもつローカルパソコンやサーバーにあります。

ローカルにあれば、安全という意識がまだ多くの人にあり、社内環境でデータを管理する状況にあるからです。

また、人の先入観による操作がウィルスを感染させてしまったり、業務データを削除したりと、人為ミス的側面で企業や業務にダメージを与えてしまうケースも多いようです。

メリット1 データはクラウド環境にある方が安全

クラウド環境にデータを置くメリットの一つにデータの世代管理というサービスがあります。このデータの世代管理とは、例えばパソコン上にあるデータにデータ処理して保存し終了させた後、実はその処理は誤りであり、元に戻したいとなっても、元に戻すことは、処理前のデータのバックアップがない限り戻すことはできません。

クラウド上のデータの場合、処理前のデータに戻すことができます。Googleのクラウドサービスは100回の保存履歴(30日を過ぎてしまうと、30日までの履歴)まで戻すことができます。

業務上うっかりや操作ミスは非常に多くあるものです。クラウドにデータを置くことで、ミスによるデータ喪失を避けることができるようになります。

メリット2 BCP対策

また、データ復元ができることから災害等で社内パソコンやサーバーが壊れても、新しいパソコンにデータ復元させることがすぐに可能となります。

メリット3 クラウドサービスは様々な制約を取り払う

データがクラウド上にあることで、仕事をする環境が自宅や、シェアオフィスでも作業が可能になり、また時間的制約からも開放されます。育児や介護で離職を余儀なくされてしまう状況でも技術的に就労を可能にしますし、遠方地からの人材も募集可能になります。

デメリット1 不正ログインについて

データがクラウド上にあるということは、IDとパスワードを入手してしまえば誰でもログインできてしまう問題があります。

これについては、この連載で複数回取り上げましたが、「2段階認証」を必ず設定することでほぼ防ぐことができます。

2段階認証サービスは自分の持つスマホやタブレット等の端末がログインの際の鍵となり、端末がない限りログインすることが出来ず、セキュリティを高めます。

マイクロソフト、グーグル、アマゾン等が提供する多くのクラウドサービスがこの2段階認証を提供しています。

労働人口の減少により人材確保が難しくなり必然的に働き方改革が進むため、ITのインフラ環境次第では生産性や、さらには職場環境までも変わってしまいます。現在のAIは印刷文字は勿論、手書き文字の認識も瞬時行うようになって来ておりこのような技術を導入すれば、作業の正確性・効率は飛躍的にアップ、人口減少でも生産性を上げられるようになります。

労働人口の減少が始まるまであと5年、まずはセキュリティの高いクラウドツールを利用し、現場に浸透させることで生産性の向上、働き方改革につなげていただければと思います。

【参考文献】https://www.nli-research.co.jp



 

 

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