生存保険

生命保険

会長生命保険は日本では死亡リスクをベースにした死亡保険が一般的であるが、生命保険には死亡リスクに対する保険と生存リスクに対する生存保険がある。日本では死亡リスクに対する保険を中心にして販売されているが、海外を見渡すと、生存リスクに対する保証・保険が普通に販売されている。

生存保険は人が生きている限りその生存中に生じてくるいろいろな経済的リスクに対して対応できるように設計された保険をいう。失業や病気、突然の出費などに備える、あるいは老後の生活を補う年金代わりにも使える、非常にフレキシブルな保険である。

お金に働いてもらう長寿社会

長寿社会はお金に働いてもらわなければならない社会である。現役を退いた後の生活は長い。現役時代に働いて蓄積したお金=資産を取り崩すか、蓄積した資産に働いてもらい生活を維持することが求められている。

一生懸命働けるうちに働き蓄えて、高齢になって働けなくなった時にその蓄えから生じる果実によって長寿社会の生活を賄えることが理想である。

もし人生の途中で病気や失業、災害などの不時の出費が発生しても有効に働いて、蓄えの中から支えられる仕組みが望ましい。
お金の働きを測るのは金利である。ところが今の日本では定期預金の利子が0・01%台で一回の振込手数料以下の金額しかつかない極めて異常な金利水準である。

これでは国民が一生懸命蓄えたお金を預かって有効に経済循環に投入・運用し国民に利子・配当として還元する仕組みや運用機関を育てる仕組みが崩壊してしまって国家としての運営がうまくいっていない証左であろう。

イギリスではサッチャー政権がかつての「揺り籠から墓場まで」という手厚い社会福祉政策を維持できなくなり、そこから転換するときに、ビッグバンという金融大改革を断行し、併せて手厚い社会保障を削減する一方、国民の資産形成に資するために、複利の効果を最大限に活かすためタックスヘイブンを利用し税金というコストを省いた国民の資産形成のための民間の積立型の保険制度を作り、国民に加入を奨励したという。これが先に紹介した生存保険であるといわれている。

日本にはない生存保険

生存保険はまさに一般市民が働いて預けたお金に働いて貰う仕組みとして作られたものである。日本ではなぜこのような生存保険の販売を許さないのであろうか。

日本では生存リスクに対する補償としての保険はがん保険を含む入院保険・医療保険や所得補償保険などがあるが、死亡保険に対する付加保険的な色合いが濃い。

ところが海外で販売されている保険には死亡保険はもちろんであるが生存中の包括的なリスクを保証し、なおかつ個人一人一人のライフステージに応じたライフプランに対応し自由にオーダーメイド設計でき、しかも運用利回りも5%を超える保険が広く普及している。しかし、このような保険は日本では販売されておらず海外に行かなければ入ることはできないのである。

私はこの保険は長寿社会における生存リスクに対する補償・保証としては最適なものと考えている。

社会保障は自助・共助・公助とよく言われるが自助に最適なこのような生存保険が日本で販売されていないのは不思議であり、ひいては日本の金融行政の貧困さを示すものではないかと感じているのである。

森金融庁長官に期待する

破綻している財政、その最大の要因である社会保障政策の破綻から日本を救うには、イギリスのサッチャー首相が「揺り籠から墓場まで」の政策で疲弊したイギリスを金融ビッグバンで再生させたように、森長官が進めている金融改革を更に強力に推し進めて国民目線に立った金融制度、海外にも開かれた金融制度を確立して欲しいものである。

森信親氏が金融庁長官に就任してから銀行・証券会社・保険会社を巡る監督行政が様変わりをしている。森長官は212号でも紹介したが「豪ドル建ての一時払い保険」の販売について十分な情報をディスクローズせずに販売していた検査事実を公表し消費者目線に立って金融機関の在り方を批判していた。

消費者の目線、中小企業の目線に立った森長官の方針が金融機関、証券会社、保険会社に浸透し、市民に優しい金融行政が実現することを期待している。

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三


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