不動産は“どこ”をみる?
前回、現場が大切という話をしました。今回以降は自分がどのような順序で実際に物件を確認していくのかをご紹介していきます。書き出すと長くなるので、何回かに分けていきますが、お付き合いいただけると幸いです。まずは、現地調査前に行う事前確認についてです。
不動産の評価の依頼があって、「さあ、仕事だ!」と言って、現場にすっ飛んで行くのがベストでしょうか。確かに2日後に概算額がほしいという超特急オーダーやお客さまからとりあえず見てほしいとうオーダーがあった場合、すっ飛んで行くことも実際あります。しかし、通常の案件であれば、手ぶらで現地に行くということはありません。
必ずと言っていいほど書類は事前に準備し、それが整ってから現場に行きます。土地の場合でしたら、
①1万分の1程度の縮尺の地図
②1500分の1程度の縮尺の住宅地図
③公図
④地積測量図
⑤土地の上にある建物図面・各階平面図
⑥対象不動産の登記情報
⑦路線価図⑧固定資産税課税台帳
は最低限必要だと思います。
①は市販されているマップルや市役所で売っている地形図等を使います。
②はゼンリンの住宅地図をだいたい使います。
③~⑥は、法務局で取得するか、インターネットの「登記情報提供サービス」を用いて取得したものを使います。
⑦はみなさんもご存じのとおり、国税庁のホームページで取得できます。
⑧は所有者であるお客さまから写しをいただき、それを使います。
不動産鑑定であれば、これに当然、取引事例や賃貸事例等もマストアイテムになってきて事前に調べることがさらに多くなってきます。
これらの資料を取得し、目を通すことにより、対象不動産はどのような特徴を有しているのか机上で事前に確認しておく訳です。
例えば、どのような道路に接しているのか、最寄駅からどのくらい離れているのか、周囲の環境はどうなっているのか、周辺の土地より大きいのか小さいのか、どのような形状なのか、地積は登記簿に近いのか等を確認しておくのです。また、グーグルマップの空中写真も非常に重宝します(それで見た気になるのは禁物ですが)。
私の場合は、住宅地図に色を塗りながら、これらを確認しております。対象地は赤で囲むとか、道路は灰色や黄色で塗るとか、河川は青で塗るとか、公園は緑でぬるとか等など。知らない人が見ると理解できないようです。手間のかかる作業ですが、こうやって手を実際に動かすことで、対象不動産がどのような特徴を持っているのかぼんやりですがわかってきます。
そうするとしめたものです。既に事前に見るべきポイントは絞れていますので、現地での作業も早く、見落としも少なく、お客さまへの質問事項もあらかじめ準備できるということにつながる訳です。
色塗りって、地味な作業ですけど、対象地や周辺のことについていろいろ想像(妄想)できたりして、私は結構好きです。みなさんもお暇があったらやってみたらどうでしょう。いつもの土地や町が違って見えるかもしれません。
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