鑑定評価Q&A【不動産鑑定評価とは】

Q 相続税の申告で不動産鑑定評価を使えるということ を知人から聞いたのですが、不動産鑑定評価とはどういうものですか?

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A

不動産の鑑定評価とは国から資格を与えられた不動産鑑定士が対象不動産の市場における経済価値を判定し、これを貨幣額で表示することです。いわば対象不動産のお墨付きのある「市場価額」を決める仕事です。

相続税申告をする場合、通常土地の評価は、税理士が国税庁の定めた財産評価基本通達に則って各国税局から毎年発表される路線価等を基に行いますが、その方法(以下、「路線価評価」といいます)で求めた価額が市場価額より相当高い場合には不動産鑑定評価額で申告することがあります。

路線価評価は、路線価に対し対象となる土地が持っている特徴(奥行・間口・角地・形状等)に応じて一定の増額や減額を行って求めた価額に対象不動産の地積を乗じて計算します。

路線価は市場価額の 80 %を目途に決めることになっていますので、路線価評価額が市場価額を上回るようなことは考えづらいと思われがちですが、上記の増減額には限度が定められていることから結果として求められた価額が市場価額よりも高くなることがあるのです。

また、路線価は毎年1月1日時点を基準として公表されていますが、相続は1月1日に開始するとは限らないうえ、 地価下落が著しい時には短い期間であっても市場価額が路線価を大きく下回るということもあります。以上のような場合に路線価評価額ではなく、不動産鑑定評価額で申告して相続税の負担を少なくしようという訳です。

○参考までに

ご紹介したほかにも不動産鑑定評価はいろいろな場面で使われています。例えば、路線価。路線価自体が不動産鑑定評価額を一つの参考として毎年更新されています。また、稼働率等が低い収益物件(マンション、アパート等)を不動産鑑定評価額で申告する場合もあります。さらにご存じの方も多い広大地。この判定も不動産鑑定評価の考え方を多分に借用しています。

しかし、市場価額としてお墨付きがあるとはいえ、黄門様の印籠ほど強力ではなく、鑑定評価額を算出した過程の説明が不足していると税務調査で否認されることがありますので、注意も必要です。

 


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