消費税について考える②

税は誰にも不公平

前号でも述べたが「税は誰にも不公平・税はいつでも不公平」であると思っている。所得税を払わないでよい低所得者の人々が消費税という税金を「なんで私たちが払わなければいけないの?」 という素朴な感情は判らなくもないが。

本当に配慮しなければならないのは、単に低所得者として一括りするのではなく、生活保護受給者や、失業中の人々や、公的年金だけで生活している人々であろう。

生活保護世帯、障碍者世帯、子育て世帯、失業保険受給世帯など前号でもふれたが社会的弱者に的を絞った対策を行うべきである。

この点については昨年7月号でも述べているが、社会的弱者に絞った消費税対策を提案してみたい。

消費税額を購入時点で免除する

橋本恭之四国大学経済学部教授論文「消費税の逆進性とその緩和策」に よれば、食料品購入のたびに補助金を支給するのでなければ、税率引き上げ前と同じ不平等を確保できないのであり、補助金支給と仕組みが非現実的な制度であることから、『所得の再分配効果を期待して食料品への軽減税率を設定することは、ほとんど意味がない』と述べている。

これを裏返して読めば購入の都度補助金を支給することができれば不平等は生じないと詠むこともできる。

IT技術が発達した現在、クレジット・カードやキャッシュ・カード、ポイント・カードは多くの国民は買い物するときに日常的に使っている。このクレジット・カードの仕組みを使って前述の「購入の度に補助金を支給する」のと同様の効果が得られるようにすることができる。

私はこの仕組みを「タックス・クレジット・カード」として導入することを提案するものである。

タックス・クレジット・カードの概要

その概要は生活保護世帯、障碍者世帯、子育て世帯、失業保険受給者等の本当に支援を必要な人々に対して「タックス・クレジット・カード」を交付し、消費税の減免を受けようとするときはそのつど、クレジット・カードのように事業者のレジにタックス・クレジット・カードを提示させ消費税を軽減・免除された代金を支払うようにする。

事業者は控除した消費税については政府へレジ・データを転送し、政府から消費税の振り込みを受ける。あるいは消費税の納税に充当するという極めてシンプルなものである。

タックス・クレジット・カードを交付することにより消費税を免除・軽減し、政府勘定に付け替えるシステムは、今のIT技術をもってすれば容易なことである。

タックス・クレジット・カードのメリット

タックス・クレジット・カード方式は、IT化社会・カード社会に馴染んでいるクレジット・カードに類似したシステムであり多くのメリットがある。

① 複数税率を採用しなくてよい
② 必要な人にピンポイントで支援できる
③ 逆進性を緩和できる
④ 社会福祉制度の検証が容易にできる
⑤ 不正受給のチェックがしやすい
⑥ 複数の社会保障制度での併用可能
⑦ 制度設計が自由に対応できる

などなど多くのメリットを挙げることができる。消費税率が高くなると消費税の滞納の増加が懸念されるが、政府へのタックスクレジットは納税に充当できるので、この面でも隠れたメリットにカウントできるのではなかろうか。

カードが使えない場合には受給者が事業者へインボイスを渡す「逆インボイス方式」を補完的に利用することが望ましい。

タックス・クレジット・カードは生活保護世帯、失業保険受給者、障碍者世帯、子育て世帯等、必要に応じ区分し、全額免除、半額免除などの免除率、免除限度額、適用期間等をカードに必要情報をインプットすれば状況に応じて柔軟に対処でき、消費税のもつ中立・簡素の特性を生かすことができるものと考える。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ


 

消費税について考える②” に対して2件のコメントがあります。

コメントは受け付けていません。