ほけんの見直し その10 必要保障額② 死亡後の予定収入はいくら?
【はじめに・・・ 】
前回は必要保障額を算出するために、死亡後の予定支出をみてきました。そのすべてを保険でまかなう必要はあるのでしょうか? 今回は、夫に万が一の場合、妻が貰える公的制度の受給額などをお話していきます。
【死亡後の収入を算出しよう】
*妻の寿命85歳で計算
⑴ 遺族年金 *下図参照
=遺族年金①・②より
⑵ 配偶者の老齢基礎年金
妻の基本となる年金。65歳から受給
(条件)夫の死亡後は本人が60歳まで国民年金保険料を納付
=〔*満額の場合72万9100円(年額)〕×「85歳-65歳」
⑶ 配偶者の収入
=〔 万円〕×12ヵ月×「希望退職年齢-現在年齢」
⑷ 一時的な収入 *学資保険・養老保険の満期金など
⑸ 現在の貯蓄総額
⑹ 死亡退職金
自営業はなし (小規模共済加入者は積立金額)
会社員は勤務先の規定による
◆死亡後の収入合計 = ⑴+⑵+⑶+⑷+⑸+⑹
遺族年金の仕組み(図表)
【遺族年金が支払われるのは?】
(基礎年金・厚生年金)
保険料納付済期間が、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間の3分の2以上であること。(特例あり)
【遺族年金<1> 国民年金制度】
第1号・第2号とも対象
①遺族基礎年金:
夫に生計を維持されていた18歳未満の子のある妻または子が受給
792,100円+子供1人227,900円 (3人目からは75,900円)
A:18歳未満の子供が3人いる期間
132万3800円×〔 〕年=〔 a 〕円
B:18歳未満の子供が2人いる期間
124万7900円×〔 〕年=〔 b 〕円
C:18歳未満の子供が1人いる期間
102万0000円×〔 〕年=〔 c 〕円
◆遺族基礎年金合計 〔 a+b+c 〕 =〔 〕万円
④寡婦年金:
受給条件を満たす場合、60~65歳になるまで夫が受給するはずの老齢基礎年金の満額792,100円の4分の3を受給
<条件>1:25年以上保険料を納めた夫が死亡
2:夫に生計を維持され10年以上連添っている
3:夫が老齢基礎年金を貰っていない
=79万2100円×〔 ※1 〕×3/4×5年=〔 〕万円
※1 保険料納付済期間の月数/加入可能月数
【遺族年金<2> 厚生年金制度】
第2号が対象
②遺族厚生年金:
故人に生計を維持されていた[年収850万円未満]の家族が受給
平均標準報酬月額 厚生年金の加入月数(~H15年3月まで)
D: 〔 〕×〔7.125/1,000〕×〔 月〕=〔 d 〕円
平均標準報酬月額 厚生年金の加入月数(H15年4月以降~)
E: 〔 〕×〔5.481 /1,000〕×〔 月〕=〔 e 〕円
F:年額{〔 d 〕+〔 e 〕}×300/加入月数合計×3/4=〔 f 〕円 *短期要件として、300月とみなして計算
◆遺族厚生年金合計 65歳 - 妻の年齢
〔 f 〕円 × 〔 〕年 =〔 〕万円
③中高齢寡婦加算:
子供が18歳以上または夫死亡時に子のない40歳以上の妻が65歳になるまで受給
=59万4200円 × 〔 ※2 〕年 = 〔 〕万円
※2 65歳-(末子18歳時の妻の年齢または40歳の高い方)
【まとめ】
遺族年金は、子どもの有無、自営業かサラリーマンかにより貰える年金の種類も金額も変わってきます。ここでは必要保障額を算出する為に大まかな金額を把握できるとよいでしょう。
最近は、ライフスタイルが多様化し、主夫として家事・育児を担当する家庭がみられます。生計を担う妻に万一のことがあった場合には、父子家庭には支給されない年金もあるので、注意が必要です。実際の給付には様々な要件もありますので、詳しく知りたい場合は、お近くの年金窓口や当事務所の社会保険労務士にご相談下さい。
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