知って得する家計入門〔子育て編〕 奨学金制度

【はじめに・・・】

景気悪化で収入が減り、教育費が重荷になる家庭が増えています。特に負担が大きい高校・大学の教育費負担の軽減する為に、どんな制度が利用できるでしょうか?

今回は、大学等の奨学金制度の現状を、見ていきましょう。

【奨学金とは?】

奨学金は基本的に、学生本人が借入れを行うものです。その目的から、審査は『経済的に困っているか、学業に対して積極的であるか』が審査の基準となります。その為、他の借入れと違い、保護者の債務状況(債務整理をしている・ブラックリストに載っているetc)は、審査には影響しない事になっています。

但し、奨学金制度を行う機関によって、厳しい審査や、家族を含めた収入その他申告事項を提出する必要があります。

また、奨学金の種類としては、奨学金の返還の必要がない[給付奨学金]と、学校を卒業後返還義務のある[貸与奨学金]の2種類があります。

【代表的な奨学金制度】

◆日本学生支援機構(旧育英会)

大学院・大学・短大・高校・専修学校に在学する学生が対象
奨学金の募集・申込みはすべて学校を通して行います。

〇採用方法

[予約採用]:
入学前に奨学金を予約する制度。進学する前年に在学中の学校の奨学金窓口に申し出。進学が確定していなくてもOK.高校の適用はない。

[在学採用]:毎年春に募集。在学中の学校に申請。

[緊急採用・応急採用]:
家計の急変で奨学金を緊急に必要とする場合。在学中の学校に申請。

〇奨学金の種類

◇第1種奨学金:

無利子で貸与。成績や所得制限などの条件が厳しい。貸与額は学校の種類に応じて毎月4万5千円~6万円。

◇第2種奨学金:

在学中は無利子だが、卒業してから完済まで利子がつく。利率は固定方式で1.47%、利率見直し方式で0.70%(7月時点)上限は3%。応募基準が厳しくないので利用しやすくなっている。貸与額は毎月3・5・7・10万円から選択。

日本学生支援機構 : http://www.jasso.go.jp/

【その他の奨学金制度】

◆大学独自の奨学金制度

少子化で大学間競争が激しくなり、「成績優秀者への報酬型」の奨学金制度が充実してきました。大学では246校・短大では87校・専門学校では285校が採用していますので、調べてみるとよいでしょう。早稲田大学の「創立125周年記念奨学金」では学部により20万円~60万円の給付が受けられます。

奨学金ガイド: http://www.syougakukin.jp/

◆地方公共団体など

高校生に対する奨学金制度、各教育委員会などで取り扱っています。神奈川県の場合、県内の定時制高校に在学する生徒を対象に、国公立(自宅通学)2万円・私立4万円を無利子で貸与します。

◆その他

「新聞奨学制度」・「医学生の為の修学資金貸与制度」・「防衛省の貸費学生制度」・「技能者育成資金」など。

【教育ローンとの違い】

[貸与奨学金]と、[教育ローン]ではどう違うのでしょうか?

第1の違いは、誰がお金を借りて返すのか?です。奨学金は学生自身が借入れ、返済します。これに対し教育ローンは保護者の借入れ・返済となります。

第2の違いは、お金の受け取り方です。奨学金は月々5万円などの金額を卒業まで毎月受け取ります。教育ローンは、希望の借入額を一括して最初に受け取る事ができます。

生活費などに充当するのか?入学金や授業料を一括して支払うのか?などの目的に応じた利用法と、月々受け取った奨学金をしっかり管理できるか?など個人の管理能力など応じた利用法と併せて、検討する方がよいでしょう。

【まとめ】

比較的簡単に利用できるようになった奨学金制度ですが、[貸与奨学金]の場合は、学生自身が就職後に自分で返済しなくてはなりません。日本学生支援機構の19年度の報告では、約20%が未回収になっています。ローンである事に変わりはありません。返済の事を念頭に置いて、条件をしっかり確認してから申請しましょう。

親の所得にかかわらず入試や入学後の成績次第で受給する報酬型の奨学金も増えています。子どもの自立や学習を促し、親の負担も軽くする手段として、活用できれば一石二鳥です。親子で[給付奨学金]ゲットを目標としてはいかがでしょうか?

 


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