変額年金保険入門 その2 変額年金保険の節税効果

【 はじめに・・・ 】

前回は、運用面からみた変額年金保険について、投資信託と比較しながらお話しました。その中で運用コストの高さを挙げたので、「投資信託」を直接買った方が投資効果はたかいのでは?と考える方も多い事でしょう。ではなぜ、このような商品があるのでしょうか?

 ズバリ!税制上のメリット とは?

【 投資信託との課税比較 】

変額年金の場合、年金を受取した時には、受取年金額から必要経費を控除した額が雑所得となり課税されます。

解約時は、契約からの経過年数により、一時所得として総合課税、または利益に対して20%の源泉分離課税となります。運用(据置)期間中は税金はかからないのが特徴です。

その他の費用として、通常の投資信託の場合は、「スイッチング」による運用収益には、原則20%(*2009年3月まで10%に軽減)の税金がかかり、販売手数料はその都度かかるものが一般的です。これに対し変額年金の場合は、「スイッチング」による運用収益には課税されず、年15回程度までなら販売手数料もかかりません。

【 課税繰り延べ効果 】

投資信託も変額年金も結局課税されるのだから、同じじゃないの?と疑問を持つ方もいることでしょう。ところが変額年金のように、途中で課税されず、余計な手数料も差し引かれず、その分が再投資されていくと、 〔複利効果〕により、運用収益では大きな差が出てくるのです。

*元本1000万円 収益率5% 分配金課税が20%の場合
20年後に約400万円の差

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【 相続時の課税 】

〇運用期間中に死亡した場合

死亡給付金を相続人が受け取る場合は、相続税の対象になりますが、 500万円×法定相続人数までは非課税になり、遺産総額から差し引く(控除する)事ができます。妻と子供2人が法定相続人の場合は1500万円までが非課税となります。但し、他の生命保険と合算なので、枠を超えた分は課税対象になります。また、受取人を指定できるので、遺産分割準備ともなります。更に、相続手続が終わらなくても、受取人が志望給付金を「現金」で受け取ることができます。

〇年金受取開始後に死亡した場合

「年金受給権の評価方法」(相続税法第24条)により、相続財産の圧縮が期待できます。(*一括受取の場合は適用外です) 相続対策に有効と言われる所以はここにあります。但し、税制改正の動きがあり、税効果減少の可能性がありますので、動向に注意が必要です。

【 生命保険料控除 】

相続税なんて無縁だから・・・という人でも実感できる節税効果として、生命保険料控除が挙げられます。他の生命保険料と合わせて最高5万円まで所得から控除されます。

【 保険会社が破綻したら・・・!? 】

万が一保険会社が破綻した場合、保険会社が積み立てておく「責任準備金」の90%までが補償されますが、責任準備金の削減などの措置がとられる可能性もあり、100%が保証されているわけではありません。

今では多くの銀行などで販売されていますが、変額年金保険は生命保険会社の商品です。年金などの支払に責任を持つのは保険会社なので、その会社の経営状態や格付けなどは必ずチェックしましょう。

【 まとめ 】

税制上のメリットについてお話しましたが、これから先、税制の変更などの可能性もあり、このような優遇措置がずっと続くとは限らないので、注意が必要です。

相続に活用する場合は、他の財産や家族の状況なども考慮が必要です。商品の特徴をよく理解した上で、専門家(税理士)と相談し、検討した方がよいでしょう。

 


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