税金を納められる幸せ

税金を納められる幸せ

年末大勢の方とお会いした。その中で納税することができる喜びをしみじみと話された方がいた。

税金を納めなくても良かった頃のやり繰りの苦しさや、思うことがなかなかできない侘しさや将来のことを考えるゆとりもなかったころのことを話され、いま、幾ばくかの貯えもでき生活にもゆとりができて税金を納めることができるようになった、しみじみ考えるとこんな幸せはない。

税金を納められる幸せとはこういうことをいうんだなぁ、と言われた。ややもすると納税することの虚しさや、重さを話される方が多いなかで目からウロコのような新鮮な感銘を受けた。

税に関する作文から

先月号3ページで税に関する作文の感想を紹介した。なかでも財務大臣賞を受賞した「スチュワードシップ」と題した作文の“スチュワードシップ(受託者責任)”という言葉が税に関する著作・文献等を読んでいる私にも恥ずかしながら始めて接する言葉のような気がし、私には新鮮に映り興味を引いた。

作文から引用させていただくと、「スチュワードシップの本来の意味は、神から委ねられた恵みを、責任をもって管理し、必要な時に差し出せる管理人となることの表明であり、キリスト教の基本的な考え方が根底にある。

現代では、そうした宗教的な意味だけではなく、政府が市民から委ねられた税を、責任をもって管理し、税を負担している市民の期待や要求に適切に応えていく姿勢という意味でも使われている。」ということである。

また、別の作文では「税金が国によって無駄遣いされたり、私たちが税を納めなかったりすることは絶対に許されないことだと思います。私たちが国を信頼して大切なお金を預け、国が私たちの納得のいく税金の使い方をすれば、国と国民はよりつながりあうことができます。」と書いている。中学生の素直な税に関する感想が書かれていて感銘した。

身を正して欲しい公務員

年金破綻の元凶となった積み立て方式から賦課方式へ変更した時の経緯を述べた座談会記録や、直近にニュース当で報道されているだけでも

①官製談合
②議員政務調査費
③教育基本法に関するタウンミーティングの経費の使い方など

などを見ていると公務員の金銭感覚のなさ、税金が国民の血と汗の結晶であるとの認識のひとかけらも感じられないのが虚しい。

一方、国民への負担は

①障害者自立支援法
②国民健康負担・医療負担
③高齢者への増税

など弱者への皺寄せといわれるほど増すばかりである。公務員一人ひとり個人としてみればすばらしい人々が多い。誰しもがそう感じていることだろう。

だが、公務員と言う組織の人となったとたんに変わってしまうのはなぜだろうか。公務員制度に大きな欠陥があると思うのである。

納税の幸せを感じられる税制を

中小企業の多くの方はその日その日の資金繰りに苦労されている方も多い。納税ができると言うことは利益や所得があって初めてできるものである。

しかし、3ヶ月先の計画もままならない昨今、利益が出て納税額がいくらになりますと言われても、“はいそうですか”と言って納税できるほど甘くはない、一円でも何とかならないかと言われる経営者の気持ちが痛いほどわかる。

このような経営環境のなか“税金を納められる幸せ”を聞いたショックは何ものにも変えがたい力を私に与えてくれた。いざなぎ景気を超えたいま中小企業の納税意欲を阻害する税制の一つに「欠損金の繰戻しによる還付制度」が停止されていることがある。

長い不況を耐え忍び利益を出す企業が少しずつ増えている。しかし、先行きの不透明なことはいうまでもない。所得や利益があるときは当然のことながら納税することが当然の事として理解できるけれども、損失や赤字が出たときには、税金の還付が受けられなければ、納税者は次期以後に備えて平準化したいと思うのは当然である。

いま停止されている「還付制度」を是非復活させ、“税金を納められる幸せ”を実感できる税制へ一歩でも近づいて欲しいものである。

(小川 湧三)

 


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