20世紀末から21世紀初頭は「経済敗戦による電子ヤミ市創業時代」
『一昨年から始まった銀行、証券会社、生損保保険会社の倒産による金融システム崩壊の仕上げの年が今年であろうと感じています。そういう意味で経済戦争敗戦を確認する年でもあります。東京が焼け野原になり、広島長崎に原子爆弾が落とされ、生物が茂るまでには何十年もかかるのではと言われたのが、戦後50年を経ずして世界第2の経済大国になりました。
ペルーによる明治維新、第二次大戦によるアメリカの占領、いままたグローバリゼーションという名のアメリカナイゼーションにより金融システムの崩壊という経済敗戦を迎えんとしています。(決してバブルのせいではありません)
「経済敗戦による電子ヤミ市創業時代」「英語世紀の幕開け」の中でどう対応していったらよいか呻吟しているのが「今年の夢」でした。』
これは川崎異業種交流研究会の1999年年頭一言集に寄稿した一文です。
第2次大戦時の昭和19年あるいは昭和20年には、沖縄上陸戦、東京大空襲、原子爆弾の投下といった事件が起こり、8月15日に敗戦宣言がだされました。今年はその昭和19、20年に相当するのではないでしょうか。敗戦当時の戦地からの引揚者、空襲による大破壊により失業者が溢れ経済的にも大混乱が発生した年でした。
今年(1999年)から来年の20世紀末にかけても失業率の日米逆転、大企業の本格的なリストラによる大量の失業者の発生、ガソリンに象徴されるようななりふり構わない安売り競争などにより、空襲などのような物理的な物の破壊を伴わないまでも、大量失業時代が待ち受けているのではないかとの予感を感じたまま書いたものです。
こうなることを望むものではありませんが、もしそうなったとしても、終戦後、統制経済の中にありながら、草の根の中からたくましい生活力、経済力を育ててきた中小企業の活力が存在したように、これからも雑草のたくましい生活力を元に、今までと違った新しいパラダイムに対応できるように柔軟な思考力、感受性を発揮する者が、インターネットや電子取引を通じた「SOHO」と言われる業態を起業したり、100円ショップやフランチャイズ方式による起業をしたり、「赤帽」的個人企業があぶくのように出ては消え、出ては消えるヤミ市的な状況が出現し、その中から新しいパラダイムによる経済再建が起こるような感じを持っています。
今までの「のれん」にあぐらをかいて、ベテランは従来の経験、ベテランであることが変革のブレーキにならないように、新入社員は業務関連知識では白紙であっても、新しいパラダイムの体現者であり、柔軟な能力とチャンスに恵まれていることを自覚し、積極的に業務に取り組んで欲しいと期待しています。
(小川 湧三)
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