「求明不見暗」

3月の某日、小渕首相の「求明不見暗」の記事が新聞に掲載されていた(LR0000号)。いま景気低迷の崖っぷちに立たされ、「フリー」「フェアー」「グローバル」の経済の国際化を迎えている時代に10年の長い政策ミスの積み重ねが今日の惨状を呈しているのに、「何と暢気な」と言う感じである。

政策当局も人の集団である限り、誰でもが失敗や判断ミスを犯すのは、やむを得ないことである。国際化の大きな転機は共産主義が崩壊し、かっての社会主義国が「市場主義社会主義」に転換した時とされている。今まで資本主義の国々のマーケットが約13億人から一挙に44億人に拡大したのである。今までにない大きな変化に直面し、今までと違った政策対応が求められるとき、危機に直面したとき、失敗に気づいたとき日本の国内事情や「知らしむべからず、依らしむべし」的な政策決定の失敗を粉塗するような政策決定プロセスをとってきたためにタイミングを失した判断ミスの連続が今日の惨状を呈していると言わざるを得ない。

第二次世界大戦開戦前のアメリカにおける「日本研究」や日本についての情報収集と分析結果の政策への応用がある。戦後では1980年代の製造業を中心とする産業のにおける危機感から、日本特殊論を退け、戦後の日本の経済復興の基礎となった産業構造を徹底的に解明し、現在のアメリカ産業活況の原動力となった「Made in America」マサセッチュ工科大学(MIT)の調査報告があり、身近な例で言えば公認会計士でも税務を中心とするアメリカの公認会計士協会(CICPA)が数年前からコンピュータによる経営環境の激変に対応し「21世紀ビジョンプログラム」をインターネットを通じて精力的に分析し、これからのあり方を再構築していること目の当たりに見ている。このように見てくると、政府のトップが「求明不見暗」で良いのだろうかと考えるものである。

幸い、経済諮問委員会が「規制緩和基本方針」を打ち出した(LR0000号)。まだ「木を見て森を見ず」の感はあるが、強力な指導力のもとにタイミング良い実行を望むものです。

自分の頭の蠅も負えない市井の一税理士が、お客さまの倒産、廃業が続くのを見ていると、自分の無力さを感じざるを得ないところです。

「明真実、而求明」

(小川 湧三)

 


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