インフレ時代の保険の見直し
2026年現在、世界的な物価高騰と人件費・資材費の上昇は、私たちの生活だけでなく「保険の価値」をも変えています。かつての「入りっぱなし」の保険は、今のインフレ下では「いざという時に足りない」「実質的に目減りしている」可能性が高くなっています。
私たちが資産を守るために今すぐチェックすべき「火災保険」と「生命保険」の見直しポイントについて取り上げます。
1 インフレによる「保険価値」の変化
物価が年2〜3%上がると、20年後には保障の価値が4割近く減少する可能性があります。
保険の多くは、契約時に「死亡保険金3,000万円」といった額面固定型です。しかし、インフレで物価が上がると、同じ3,000万円で買えるモノやサービスは少なくなります。
2 火災保険編 建築コスト上昇で「再建築できない」リスク
今、最も見直しが急務なのが「火災保険」です。資材高騰と人件費アップにより、「家を建てた当時の金額では、今は同じ家が建てられない」事態が起きています。
◆ 建物評価額のギャップ事例
2015年に3,000万円で建築 旧契約の補償額3,000万円の場合
【2026年現在の建築コスト】
➡ 同等の家を建てる費用:4,200万円(+40%アップ!)
【リスク】
➡ 火災で全焼しても、3,000万円しか出ない
= 1,200万円の自己負担が発生!
◆ 見直しのポイント
⒈ 「再調達価額(新価)」での契約確認
古い契約(特に20年以上前)には、経年劣化分を差し引いた価額で支払われるものがあります。必ず「同等のものを新しく建てる・買う金額」が支払われる「再調達価額」での契約かどうか確認してください。
⒉ 評価額の「再評価」を実施
インフレに合わせて建物の評価額を最新の状態に更新しましょう。保険料は上がりますが、いざという時に「住む家を失う」リスクを回避できます。
⒊ 「水災補償」と「免責金額」の最適化
昨今の異常気象で水災リスクは高まっていますが、高台のマンション上層階など、リスクが極めて低い場合は外すことで保険料を抑えられます。また、「免責金額(自己負担額)」を5万〜10万円に設定すると、毎月の保険料を合理的に下げられます。
3 生命保険編 必要保障額を再確認!
⒈ 必要保障額の算出
生命保険の死亡保障の最大の目的は、残された家族が困らないようにすることです。配偶者の収入・子どもの成長により必要保障額はだんだん減っていくのが一般的です。
⒉ 自宅か賃貸か
賃貸なら必要保障額に今後の家賃分を計上すべきですが、住宅を購入し団信(団体信用生命保険)に加入していれば、亡くなった場合以降住宅ローンの返済は免除されます。その分の死亡保障は必要保障額から外すことができます。
⒊ 医療費
老後の医療費は心配事の一つです。しかし「高額療養費制度」により、月額の上限(一般的なサラリーマンなら月額9万円程度)が決まっています。また保険は請求しなければおりませんが、預貯金があれば対応可能です。
4 生命保険 見直しのチェックポイント
❖ その保険金で、10年後・20年後の家族は本当に生活できますか?
❖ その保障はいつ必要ですか?
❖ 資産形成を保険に頼りすぎていませんか?(保障は掛け捨て、運用はNISAなどの使い分け)
◆ 今日からできる「保険の仕分け」
① 団信と生命保険の「重複」を削る ➡ 死亡保障の減額
② 10年以上前の「特約」を確認する ➡ 今の医療実態に合っていないことが多い
③ 保険料の支払いを「コスト」と考え、余った資金を「住宅ローンの繰り上げ返済」や「資産運用」という「攻め」に転換する
⒈ 「収入保障保険」への切り替え・活用
一括で受け取るタイプではなく、毎月20万円など「給付形式」で受け取る保険です。満期まで保障金額の変わらない定期保険より保険料は安くなります。最近ではCPI(消費者物価指数)に連動して受取額が増える「インフレ連動型」の商品も登場しています。
⒉ 貯蓄型保険の「お宝」判別
1990年代半ばまでに契約した「予定利率が高い保険(お宝保険)」は、今の低金利・インフレ下でも強力な資産です。絶対に解約してはいけません。一方で、近年の円建て貯蓄型保険は効率が悪いため、NISAや変額保険へのシフトを検討しましょう。
⒊ 変額保険・外貨建ての検討
運用の実績によって保険金が変動する「変額保険」や、金利の高い「外貨建て保険」は、インフレに強い性質を持ちます。ただし、元本割れや為替リスクがあるため、保障と運用のバランスが重要です。
相続税対策?
インフレに強いとされる株式・不動産の価値が上がり、相続税の申告が必要となるケースも増える可能性があります。その備えとして、同じくインフレに強い変額保険や外貨建て保険を活用するのもよいでしょう。
まとめ
インフレ下での保険選びの鉄則は「額面に惑わされず、実質的な価値(購買力)を守ること」です。現在の契約がどうなっているか、例えば、会社の団体保険がインフレ対応の特約を持っているか確認するのも一つの手でしょう。
しかしあくまで基本は、その個人・家庭ごとのライフプランに基づくものです。それぞれの働き方・住居プランなど優先順位をつけ、家庭で共有して、物価上昇の波を乗り切っていきましょう。
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