ファイナンシャル・リテラシィを身に付けよう
ファイナンシャル・リテラシィとはお金に関する読み書き能力のことです。
4月から企業や個人から株式や債券などの売買注文を受け、提携先の証券会社に取り次ぐ証券仲介の制度が大幅に緩和されたが、12月1日から最後の仕上げとして証券仲介業が銀行などの金融機関に全面開放される。
預金はありがた迷惑?
金融機関は、かって、規模拡大の象徴として預金獲得に血道を上げていた。しかし、平成不況が進行して不良債権の大量発生と貸し出しが減少しているなか、安全性を求めて預金は逆に増加して逆に重荷になってきている。
一億円預金するので取りに来て欲しいと言ったら、持ってきていただければお預かりいたします、言われたとか。
金融機関は預金通帳のシミみたいな利子で預金を受け入れているが、預金を受け入れることは、金融機関の自己資本比率の低下など体質を弱体化させる作用を及ぼすため、金融機関にとっては預金を証券などリスク金融商品へ振り替えることには大きなメリットがある。
このような中で金融機関の証券仲介業への前面参入が解禁されたことは、金融機関にとっても預金者にとっても大きな転機をもたらす。
狙われる裸の王様
一口に1400兆円と言われる個人金融資産、特に預金を目指して、一斉に動き始めた。ゼロ金利時代にも拘わらず預貯金にジッと滞留している個人金融資産を、預貯金をアメリカ並の証券投資(1999年末57.7%:日本15.8%)にしようと「貯蓄から投資」への国を挙げての大作戦が始まっている。
今年4月1日から銀行で個人向け投資信託の窓口販売が始まった。投資信託の3割が銀行窓販で占め、大手銀行では半年で9兆円を超える投資信託の販売実績があったそうである。とくに、株式や外国為替といった相場変動で利回りが大きく変化する個人向け投資商品の販売を伸ばしているとのことである。
身に付けようお金の読み書き能力
ピーク時38915円87銭が7972円71銭まで株価が下落する中、株式投資に失敗した多くの人を見て、羊のように預金に逃げていた人々が、金融機関への証券仲介業の全面解禁により前からはリスク金融商品への勧誘、後からはペイオフ解禁という、どちらを向いてもリスクに直面する「前門の虎、後門の狼」状態にある。
これからはあらゆるところから金融商品の販売攻勢がかかってくる。とくに販売によって大きなメリットを得る金融機関からの販売攻勢が懸念される。さらには、個人の自己責任で運用する確定拠出年金制度の加入者も100万人をこえ、最近ではみずほ、日本生命も来年4月から導入するとのことである。
いままでお金の話をすることははしたないことと教育されてきた。「私は株はやりません」と株式投資をやらないことが誇らしい事として政治家や政府官僚が語る風土のなかで、お金に関する知識や教育を受けることなく生活してきた多くの人々にとって、どう対処すべきか判らないのが当然である。
自らの財産を守るために、遅まきながらファイナンシャル・リテラシイ(お金の読み書き能力)を身に付けるしかないのである。
(小川 湧三)
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