景気の行方

政治は経済を動かす

政治は経済を動かす。昨年初めと同じ題で書く。昨年はアメリカではブッシュ大統領の再選を賭け、日本では参議院選挙で与党の過半数維持に向けて景気維持に腐心した政策を実施してきた。日銀では超金融緩和を実施し、デフレ対策を実施してきた。

昨年の経済の行方は日本とアメリカの政権の政治にあわせて作られた景気の要素が強い。作られた景気はすぐ落ち込んでいく。案の定それらの政治日程が終了し、ブッシュ・小泉体制が今後4年近く続くことが確定すると、イラク情勢と双子の赤字に対する懸念などから為替が急激に円高・ドル安に転換しだした。

消費は動かない?

国内では昨年10月からは始まった年金保険料引き上げによる負担、秋の台風や地震などの天災地変による損害がボディブローのように効き出してくる。それらを反映してか景気先行指標が50%割れを起こしGDP実質成長率が0.1%(名目成長率ではマイナス)と下方修正されるなど景気信号に黄色が点滅し始めた。

GDPの中心である消費が冴えない。だが、政権が安定化した政府・政策当局は、明確に国民に負担を求める財政再建路線に舵を切った。税制改正にはタイムラグがあり、昨年取り上げられた税制改正の多くは今年になって顕在化する。

特に売上高1000万円超の中小零細企業に課税事業者を広げた消費税増税政策は消費者に無言の圧力を与えている。さらに今年の税制改正においても、サラリーマンを直撃する定率減税の廃止や消費税の税率アップによる増税が取り沙汰されるようになっている。

この税制改正のアナウンス効果による心理効果は意外と大きい。これらは消費マインドを萎縮させてしまうものである。

身近な異変

私たちのお客さまである中小・零細企業のかたがたにも小さな異変が起きている。

一つはマンションの空室原因が分譲マンションへの移転や転勤などによる他の賃貸マンションへの転居から、Uターン・帰郷による空室が増えてきていることである。

もう一つは事業の閉鎖原因が廃業から倒産へ変わってきていることである。これらは「振り込み詐欺」や子供に対する悲惨な事件など失業や世相不安が増えていることを象徴しているのではなかろうか。

中小・零細企業はもう一段の覚悟を

大企業は空前の高収益を上げているところも出てきているが、大半は産業空洞化を齎した中国シフトとリストラ効果によるものである。マクロ経済はデフレ一色からマダラ模様に変わりつつあるが、地方や身近な中小企業はまだまだデフレの真っ最中にあり、まだまだトレンドは右肩下がりのなかにある。

公共事業の縮小はあっても増加は望めず、前述のごとく消費の伸びが期待できそうにもない。もちろん、消費も二極分化が進んでおり、富裕層の伸びは著しいが、大多数を占める消費は低迷の中にあり厳しいい競争にさらされている。ペイオフの影響も不透明で中小・零細企業はもう一段の覚悟が求められる。

(小川 湧三)

 


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