不動産所得の税務

第194回 財産承継研究会

広大地評価の改正点と
そのメリット・デメリット・資本的支出と修繕費

【財産基本通達改正における広大地評価の改正点及び、そのメリット・デメリット】

講師は小川税務会計事務所の渡部寛二。

今回の改正で、下記の通りの算式により広大地の評価をすることとなりました。

今回の改正の注意点は、対象不動産の最有効使用が「戸建分譲用地」と認められる場合には広大地評価が適用されますが、マンション適地や大規模工業用地の場合には適用されないことです。

この改正のメリットは広大地の評価方法が簡単になり、かつ評価額の減額に伴い納税額の絶対額が下がり、納税者有利となった事です。

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一方デメリットは、広大地評価額が本当の時価から相当乖離する場合には、遺産分割協議時や物納申請時、売却時などに問題が発生することが考えられることです。いずれにしても不動産鑑定士などのプロでも非常に迷う適用の可否判断となりそうです。

【不動産所得の税務】

第二部も引き続き渡部が不動産所得の税務について参考図書をレジメに解説しました。不動産賃貸に関連する固定資産税、登録免許税、印紙税等も含めての概略説明でしたが、ここでは「資本的支出と修繕費」について説明します。

「業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出された金額のうちその固定資産の価値を高め、又は耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」が資本的支出とされ減価償却の対象となり、「その固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等により毀損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額」は修繕費とされ一度に経費で落とせることになるわけです。

ところが、実務上は非常にわかりにくく、判断に迷うところだと思います。確定申告も控えていますので、その修理・改良等のための支出金額を順次下記にあてはめて判断してみればわかりやすいと思います。また業者さんへの値引き交渉にも役立つかもしれませんね。

①20万円未満か、または周期がおおむね3年未満であれば・・・修繕費
②明らかに価値を高めるものか、又は耐久性を増すものであれば・・・資本的支出
③通常の維持管理のもの、又は毀損したものを原状に復するためのもの・・・修繕費
④60万円未満、又は「前年末取得価格」の10%以下であれば・・・修繕費

【CF計算書の説明及び重要性、注意点】

講師は所長の小川湧三。月次でお渡ししている経営内容概況報告書の2枚目「Ⅴキャッシュフロー(CF)計算書」から、税引き後・借入金の元金返済後のCFの計算のしかたについての説明がありました。

同族法人の場合は、役員報酬額を個人所得税と法人税とのバランスも見極めたうえで決定することも多々あると思います。

法人CFは計算書82行目のCFから、借入金返済額と納税額を差し引けば、税引き後・借入金の元金返済後のCFが出るわけです。

借入金の元金返済額は、計算書の83行目と84行目の数字の合計、概算法人税は(78行目―80行目)×2分の1で算出してください。この数字がマイナスとなる場合は、役員報酬等を減らすなども検討も必要になってきます。

 


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