子育て罰②

子育て罰はなくせるか

ちょうど原稿執筆中の4月29日の新聞に、「出産費用無償化」の記事が出ていた。出産が病気でないため医療保険の対象にならなかったのを「子育て支援」のために出産費用も保険で負担しようというのである。

「子育て罰」をなくすには、「子育て期」に失った経済力や出産・子育て期に出費する費用を補填すればよいのであろうか。子育てには、母親が肌身離さず接して育てなければならない期間がある。

また「子供を大家族みんなで育てるチベット」を例に出すまでもなく、そこにはお金に換えられない「時間と空間の広がり」が必要である。

このように、「子育て」には家庭・家族・地域コミュニティが欠かせない。子供もいて、老人もいて、混然一体とした社会が望ましい。子供だけの社会、働く人だけの社会、老人だけの社会は不自然な社会である。

子供を産み育て次世代につなげるために生物が皆そうであるように、人の子供は20年後30年後に社会人として活躍し、約50年社会人として働き社会の発展に尽くすことになるのである。

成人するまで少なくとも20年に及ぶ子育て期間は必要とする。この子育て期間をお金に換算することは不可能であるし、このように考えることは無益なことと考える。子育て期間の逸失利益(金銭換算するとして)を金銭的に埋め合わせようとするならば「子育て罰」はなくならないであろう。

アリの社会は2:6:2の比率で構成されているという。20%の働きアリと60%のそこそこ働くアリと20%の働かないアリで社会が出来上がっている。働きアリだけ集めるといつの間にか2:6:2のアリ社会になっているとのことである。

現代の貨幣経済社会を当然のこととしなければならないならば、「子育て」に母親の生物としての子育て時間が欠かせないものである限り、時間で労働を計る「子育て罰」は無くすことができないであろう。

人口は国力の最大の力

毎年人口減少が報道される。今年2月7日に人口減少の発表があった。

子供の出生数が70万人ということで、国立人口問題研究所の推計より17年も早く急速に人口減少が進行しているとのことである。

ピークには1億2000万人だった人口が数年後には1億人を切るという、急速な人口減少局面に入った。

少子化対策は国によって数次にわたり策定されてきたが思うような効果が出ているとは言えない。

子育て対策は子を産み育てる「親の立場」に基点をおくか、生まれてくる「子供」に焦点を置くかによって大きく変わって来る。今まではすべてといってよいほど「親の立場」からであった。

「親の立場」からの政策で最も印象に残っているのは、ドイツのヒトラーがとった政策である。要約していえば若者が結婚すれば住宅を支給し代金を超長期で返済させる。

しかし、子供が生まれると4分の1の債務を免除し、4人生まれれば全額免除する(※1)というものである。政策効果は2~3年で現れたという。

日本のように「子育てにかかる親の負担」を補助する・援助するというような政策とは異なった家庭・家族を中心とした大胆な政策であった。

子ども年金

保育・教育など生まれてくる「子に焦点を当てた政策」はどうであろうか。子供に焦点を当てた政策といっても焦点をすり替え子供にかかる費用を親の所得に応じて支援・助成する政策がすべてである。

しかし、この点を大いに転換する必要があるのではなかろうか。

自明のように子供は一人で育つわけではない。母親、家族、地域社会の中で育つものである。

しかし、親の貧困が「子」に影響しないようにするには、憲法で保障されている人権・生存権・幸福を追求する権利などを親の所得に影響されないようにすべきである。生まれたその瞬間から子供の人権・生存権を認め、生まれた子供に受給権を与え子供の生存を保障する「子ども年金」(※2)を支給することを考えてはどうであろうか。子供が親の所得に左右されることなく成長できるように所得補償するのである。

むろん、生まれたばかりで管理能力はないから、第一義的には親に管理権を委託するのが望ましい。「子ども年金」は子供に対する超長期の投資である。一般国債とは異なり建設国債並みに扱い、相続税評価や納付に充てられるなど適切に設計すれば十分に可能であると思っている。

(※1)ほっとタイムス289号
(※2)280282304号

 

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代表 小川 湧三

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