異次元の少子化対策

出生数急減80万人割れ

2016年に出生数100万人割れが生じて衝撃を受けたが、昨年2022年はさらに6年間で20万人減少し、ついに80万人を割った。

3月1日新聞のトップ記事として「出生数初の80万人割れ」「推計より11年早く」と報じていた。第一次ベビーブーム(1947~1949)時には約270万人だったのが約200万人出生数が減少してしまった。

昨年5月イーロン・マスク氏による、「日本は存在しなくなる」という内容のツイッターへの投稿が、日本の少子化をクローズ・アップさせたことを思い浮かべた。

首相、施政方針演説

岸田首相は第211通常国会で子ども・子育て政策で「従来とは次元の異なる対策を実現する」と表明し、「出生率を反転させなければならない」と訴え、子ども政策に関し「経済社会の持続性と包摂性を考える上で、最重要政策と位置付けている」と明言している。

2022年の出生数が80万割れとなる見込みに振れ「社会機能を維持できるかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれている」と説く。

THEMIS(テーミス)2023年3月号によると「改めて『異次元の少子化対策』を見てみると、①児童手当を中心とした経済的支援の強化、②学童保育や病児保育、産後ケアなどすべての子育て家庭への支援拡充、③仕事と育児を両立する働き方改革の推進︱の3本柱。(中略)こんな少子化対策で子どもが増えるはずがない。」と批判的に書いている。

少子化の原因

THEMISでは、少子化の原因を「未婚化」「非婚化」」「晩婚化」にあると指摘している。

若干古いが手元にある「令和3年版少子化社会対策白書」によると、「未婚化」については、50歳時の未婚割合は男性23.4%、女性は14.1%である。「晩婚化」については、平均初婚年齢は2019年には夫が31.2歳、妻が29.6歳となっており、1985年と比較すると、夫が3.0歳、妻は4.1歳上昇している。第1子出生時の母親の年齢は30.7歳で4.0歳上昇している。

櫻井よしこ氏:産経新聞3月6日

氏は「未婚化対策に叡智を」というタイトルで「実績で見れば年来の子育て支援策は少子化問題解決に貢献していない。少子化の真の原因を間違えているからだ。このままではせっかくの大計画は従来の施策同様、少子化対策にはつながらない。(中略)

正しい対策は正しい認識からしか生まれない。若い世代の結婚観について日本社会には大いなる誤解があると指摘するのが、中京大学現代社会学部教授の松田茂樹氏だ。子育て期で見ると、「夫は仕事、妻は家庭という役割分担を行う夫婦」が全体の80%で圧倒的多数を占めているという。(中略)

シングルマザーをはじめ少数の人々の生き方をきちんと受け入れるという大前提を踏んだうえで、伝統的家族の長所に目を向け、若い人々が結婚できる社会の構築に最大限の支援が急がれる。」と書いている。

少子化の対策

フランスの例はTHEMISに紹介されている。要約すれば「①保育ママ制度②N分N乗方式③育児手当20歳まで年齢引き上げ④公共機関の割引システムの導入などで、93年に1.56まで落ち込んだ出生率を2006年には2.01まで回復した。」とのことである。

ヒトラーも政権掌握と同時に少子化対策を実施し、素晴らしい成果を上げているので紹介したい。(※)

「ヒトラーが政権を取ったとき、ドイツは少子化問題も抱えていた。

当時、人口学者のブルクデルファーが「今のままの出生率ではドイツ民族は人口が減り衰退、滅亡してしまう」という論文を発表していた。

この問題を解消するため1933年、ナチスは政権を取るとすぐに、結婚資金貸付法という法律を施行した。(中略)

またこの貸付金は、子供を1人生むごとに返済金の4分の1が免除され、4人産んだ夫婦は全額返済免除となった。

その結果、1932年には51万件だった結婚数が、1933年には63万件、1934年には73万件に増加し、出生数は20%も上がった。」

私は櫻井氏と同じく子供を育て育む家庭を中心とし、少子化対策は

①生まれてくる子供中心に、②第一子出産年齢を25歳以下に引き下げる③女性に対する施策を労働力中心から子供、子育て中心にシフトした政策が望ましいと考える。

(※)武田知弘「ヒトラーの経済政策」p.64~

 

LR小川会計グループ
代表 小川 湧三

 

お問い合わせ

神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします