日本は存在しなくなる?

イーロン・マスク氏のツイッター

会長

5月9日付日本経済新聞でイーロン・マスク氏が日本の出生率低下をめぐり「日本は存在しなくなる」という内容のツイッターへの投稿を報じ、また、5月29日には「核心」で、6月2日には「大機小機」「国家盛衰に直結する人口対策」を取り上げた。

2021年10月1日時点の日本の総人口が前年から64万4千人減の1億2550万2千人となり、過去最大の落ち込み幅になったことを伝えるニュースに反応してコメントした、とのことである。

ツイッターの内容は

『あたり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を上回るような変化がないかぎり、日本はいずれ存在しなくなるだろう。これは世界にとって大きな損失となろう』

鳥取県が無くなった?

日本の人口は、2008年の1億2808万人をピークに減少に転じた。出生数も2016年に100万人割れを経て、毎年出生数最低を更新しているのである。

昨年の出生数は84万人と報じられて、死亡数は145万人、人口の自然減は60万人を超え、鳥取県一県の人口(55万人)がスッポリ無くなったとも報じている。

少子化ともう一つの課題「劣化」

少子化が進行していると同時に、子どもを取り巻く「環境課題の顕在化」が起きている。

最近、子どもに関する記事、ニュースにマイナスイメージの記事が多くなった。「引きこもり」「不登校」「ヤングケアラー」「子ども食堂」「赤ちゃんポスト」「内密出産」「子どもの家出」などなど。

第一子出産年齢の高齢化や低所得層の育成環境の悪化が進行し、生まれてくる子どもを取り巻く環境の質が「劣化」しつつあるのであれば重要な課題としてとらえなければならないであろう。

「少子化+環境の劣化」が重なれば国家として衰えていくのは明らかである。

人口政策は女性の労働環境整備?

人口政策、少子化対策というと、「M字カーブ是正」などのように出産・保育などによる女性の労働環境の整備が取り上げられることが多い。

ミノーシュ・シャフィクの『21世紀の社会契約』でも、『女性の教育がどれだけ向上して仕事の幅が広がり、業務の機械化や社会規範の変化が起きても、才能の最適な配置を妨げている最大の障壁はいまなお、子どもが生まれたときに世界中のどの国でも女性がいったん労働力からドロップアウトしたり、育児の義務と有給の仕事を両立させられるように給料の低い仕事に移ったりすることなのだ。』『重要なポイントは、真に性的に中立な労働市場が生まれれば、才能ある女性が各自の可能性を十分発揮できるようになり、ひいては男女どちらにとっても生産性が向上するということだ。』といっている。

しかし、私はこの論点は経済・労働の視点に傾きすぎていると思う。よく考えてみよう。日曜日のNHK「ダーウィンが来た!」をよく見ているが、生物は性差の役割がはっきりと決まっている。人間も動物である限り性差をなくすことはできないし、生物たちは食物連鎖の中で環境が激変しない限り命を繋いでいる。

人口はホロコーストのように意図的に絶滅させる意思や自然環境の激変がない限り、イーロン・マスク氏のいうように、限りなく「ゼロ」になるということはない。

人口を増やすには

人口政策を考えるには、おおまかに次の3つが重要な事項ではないかと考える。

① 人の生存に適した自然環境を破壊しないこと
② 経済至上主義から離れ女性を労働力の視点から解放すること
③ 母子を社会的存在として経済的に自立させる政策を立案すること

特に③が重要であると考えるのである。

人間形成期に政策の重点を

「三つ子の魂百まで」の諺がある通り、生後3年の育成環境が子どもの人格形成に重要な時期であることは万人の認めるところであろう。

人生100年といわれる現在、この子育て適齢期を自身の成長や能力アップと子どもの成長と共にできるようにする政策が必要と考えているのである。

「子ども41年連続減少」5月5日「こどもの日」の新聞記事の見出しである。人口政策は超長期の国家の基本政策である。こども家庭庁法案も成立したけれど目先の課題にとらわれた対症療法的な施策にしか感じられないのである。

 

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代表 小川 湧三

 

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