月60時間を超える時間外労働の割増率引上げ義務化

令和5年4月から、月60時間を超える法定時間外労働についての割増賃金率の引上げについて中小企業の猶予期間が終了し、支払義務が発生することとなりました。

■法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働時間に対しては、時間外労働として25%以上の割増賃金を支払わなければなりませんが、時間外労働が1カ月で60時間を超えた分については、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

■深夜(22時から翌朝5時)の時間帯に行った労働のうち1カ月60時間を超える法定時間外労働に対しては、深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%の75%以上を支払います。

■1カ月60時間の算定には、法定休日(週に一度の休日、例えば日曜日)の労働時間は含まれませんが、それ以外の休日(例えば土曜日や祝祭日)の労働時間は含まれます。従来土曜日も日曜日も「休日出勤」としてまとめて管理していた場合は、別々に集計する必要があります。

■変形労働時間制やフレックスをとっている場合でも、それぞれの「時間外労働」をその起算日から数え、60時間を超えた分については、50%以上の割増賃金を支払います。

■今年の4月から6月の間に実際に60時間を超えた時間外労働があった場合は、社会保険の随時改定における固定的賃金の変動となり、月額変更届の提出が必要となる可能性があります。

■また、1カ月60時間を超える法定時間外労働を行った方の健康を確保するため、引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することもできます(※元々の時間外の割増分の25%は代替休暇にはできません)。代替休暇は1日または半日単位で与えます。また、時間外労働が1カ月60時間を超えた当該1カ月の末日の翌日から2カ月以内に与える必要があります。

代替休暇制度の導入にあたっては、労使協定で所定の項目を定める必要があります。なお、この労使協定は個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務付けるものではなく、代替休暇を取得するか否かは個々の労働者の意思により決定されます。

■適切に割増賃金を支払わない場合は、罰則が定められています。この改正に伴う勤怠システム、給与計算の見直し、および就業規則の改訂等が未対応の場合は、早急に対応しましょう。

 

 

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